二郎ちゃんの難解な恋-6 ページ7
昼休み。
前の授業での宣言通り俺はAちゃんに話しかけるつもりだ。
ぶっちゃけ、緊張も汗もやばいけど…
こういう機会がないと喋りかけようってならなかっただろうし。
友達に煽られて喋りかけましたっていう大義名分があるだけまだましかもしれない。
「……かれこれ5分が経過しました。」
隣でやつは実況する。
うるせえ実況してんじゃねえ。
そう、俺はまだAちゃんに声をかけていない。(かけれない)
「…はやく行かねーといつも通りならAちゃんどっか行っちゃうけど？」
二郎「分かってるし…」
いっつも昼休み教室いないからつまんねー、と思ったことが何度もある。
いや、よくよく考えれば彼氏？
「…。(埒あかんな。)…あのさあ！Aちゃん！」
二郎「はあぁっ？！おまっ…！」
突然の裏切りにこいつを睨むと何故か親指を後ろで立てている。
は？
まさか助け舟のつもりなのか。
声をかけられたAちゃんは一瞬肩を揺らして驚いたと思えば、振り返ってにこやかに対応してくれた。
A「どうしたの？」
「あのさ、俺らと一緒に飯食わない？」
A「え、ご飯？…うん、私でよければ。」
目を丸くしてAちゃんが少し本当に嬉しそうに頷いてくれた。
え、てか。
いいの？
彼氏いないの？いっつもどこ行ってたんだろ。
A「山田くん。」
二郎「あー、俺のこと二郎って呼んで。」
いっつも兄ちゃんと三郎といるから、俺たち兄弟はみんな下の名前で呼ぶかなにか愛称があるか。
山田、なんて苗字で呼ぶのは担任か依頼者くらい。
「お前たまに大胆だよな。」
二郎「…？なにが。」
なんで下の名前を呼ばせるのに、声は掛けれてないんだよ。とため息をつかれた。
A「二郎、くん？二郎…の方がいい？どっちがいいかな。」
二郎「ん゛っ…！」
「ぜひ二郎ちゃんで！」
二郎「ふざけんなっ」
二郎ちゃんは論外だけど、
二郎くん、二郎…どっちもありだな。
ていうか、ちょっと可愛い感じで「じろーくん。」とか言って欲しい。
A「んー…じゃあ。じろーくん、ね？」
二郎「な、なんでもいい。(可愛いぃぃぃ！)」
思ってた期待の言葉通りだった。
可愛すぎて表情がにやけそうになるのを必死に抑えるためずっと真顔をキープしているくらいだ。
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作者名：リドル | 作成日時：2020年1月30日 23時
