【d!】前世で音が聞こえなかった俺は転生して初めて仲間の声を聴きました

“泣かないで” ページ10

ショッピ side








貴「ｸﾞｽｯ」





俺の腕の中で泣いているのは

前世で最初で最後の恋をした相手





前世で彼女が死んだとき

俺は完全に生きる気力を失くした

どうしたら良いかも分からず

ひたすら泣いた

それは俺だけでは無く他の幹部たちも同じだった




ある人は『俺が指示したから』と嘆き

ある人は『元は俺が行く筈だったのに』と嘆き

ある人は『俺の忠告が遅かったから』と嘆いた




俺達にとってAさんの存在は大き過ぎた

誰もが信頼して

慕っていて

Aさんを女性として“好き”だった






そんな彼女と今世でまた会えた

そんな中、彼女から伝えられた真実

前世では『音が聞こえなかった』という真実




音が聞こえない、きっと俺だったら

辛くて不安で仕方がなくなる

そんな状態で何年も生きて、しかも軍人をやるなんて

常人にはできない筈だ




俺達は彼女を強いと思っていた

過信し過ぎていたんだ



だって、ほら



今、俺の腕の中で泣くAさんは

今にも壊れてしまいそうじゃないか





syp「Aさん、明日から

俺、できる限りAさんの側にいます

先輩方と会うのはまだ辛いと思うので」



貴「じゃあ、お願いするｸﾞｽｯ」






前世で護れなかった分

今世で貴方の側にいます

だから泣かないで

.

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