ルッチさんの言う通り (ページ13)

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不思議を胸にページ13

コンコン、というノックの音に、躊躇いもなくAはその扉を開ける。

ノックの主は心底驚いて、

「ちょっと、アナタなんで服を着てないの？！
それに髪もびしょ濡れ……何かあったの？」

「おもいだしてたの」

「ルッチのことね。」

「どうしてわかったの
私まだルッチさんの名前とか出してない」

「顔を見てればわかるわ」

呆れたように言うカリファをみて、うーん。と納得のいかない様子。

そして椅子に座らされ、服を着せられ、髪の毛を拭かれる。
初めてではないその行為に、ボケーッと一点を見つめるだけの彼女に「て、こんなことをしにきたんじゃなかった」と、それでも乾かそうとする手を止めることは無い。

「私と、ルッチ、そしてカクやブルーノ、もちろんあなたも。長期任務が入ったの。
まだ正式な指令は出されてないけど、今日の夕方か明日の朝にでも出ると思う。」

「ちょうき、にんむ。めんどくさい」

ぽわぽわとしてきた様子の彼女にカリファはハァとため息を吐く。

「めんどう、めんどうって、もう大人なのよ、Aは」
「何歳になったのか言ってごらんなさいよ」

「21歳とかだと思う、ルッチさんと出会ってから11年が経ったから」

何に対してもルッチが基準のその子に何度目かのため息。
もっと何がしたい、アレがしたい、オシャレがしたいとか、無いのかしら。と悩むだけ無駄なソレを永遠に考える。

「カリファはどうしてそうやって、ルッチさんみたいに私のお世話をしてくれるの」

「驚いた、ルッチもこうやってあなたの髪を拭いたりしてくれるのね。うーん、どうしてかしら」

「金って、どうして必要なの」
「みんな金をやるから助けてって言う。私は金なんか必要ないのに、みんな言うから不思議」

「お金を使ったことって、なかったかしら」

「買い物は全部ルッチさんが。カリファも私にお金払わせたことないし、そこの引き出しに貯まってるよ」

と指さしたのは備え付けのタンスで。
開けてみればビッシリと詰まってるそれに驚きよりも呆れが。

「ルッチといい、私といい、貴方に甘すぎたのかもしれない。
アンタ今日買い物に行ってきなさいよ」

「……ルッチさんの予定、きかなきゃ。」

「それじゃお金使わないでしょ！」

「どうして」

「ルッチと2人で買い物なんか行ったら全部ルッチが買うし、それに彼の好みのものしか買わないじゃない」

「それの何がいけないの
私はルッチさんが好きなものが好き。だから別に。
興味もないし」

と。