狂い咲く漆黒の彼岸花 ページ12
そして、その親元と呼ばれた奴の正体は海賊で、
しかもバズーカやら大砲やらライフルやらで基地をグチャグチャにするじゃないか。
そして人質にとられる基地の軍人たち。Aは終始不思議そうな顔をして、実の両親や、その周りの人間たちとどうように、捕らえられていた。
「アンタ、アイツらを殺してきなさいよ！」
「おい、もしそんなことがアイツらにバレて俺たちまで」
と目の前で会話する男女を、またボーッと眺める。
不思議だなあ、とでも思いながら。
もう何日経過しただろうか、転機は訪れる。
重いその扉が開けられ、入ってきたのは12歳かそこらの少年。
助かった、という周りの大人たちを見て不思議そうに、助かってないのに……と呟く。
「助けに来てくれたんだろ！なあ、」
「助ける？自分たちの工場ひとつ守れないで俺みたいなガキに助けを求めるとは、やはり弱いというのは罪。」
「罪なら、裁かなくちゃな」
ニヤッと口角を上げた男に目を奪われるA。
そして目の前にきた男。
その瞬間、あろうことか
「どうせ、死ぬんなら」
「アンタに名前のひとつでもつけときゃよかったよ」
「旦那があんななんだ。私も殺られるかと思って、一緒になって傷つけてしまってごめんよ」
Aの頬を包み、涙を流す女をAははじめて、その瞳を見た。
そして腹を貫くその手を見て、満足そうに笑う。
亡骸となったソレを落ちていた木の棒でつつく。
頬を。
鼻を。
首を。
胸を。
そうやってつついていって、最終的に
「あー、つまらない」
「こんなに簡単に死ぬんなら、もっと早く殺せばよかった」
と二人の頭を踏み砕いて。
その様子に、男は
「お前、名は？」
「……親と呼ばれるモノにはガラクタって呼ばれてましたよ」
と。
「……今日からお前はAと名乗れ」
「はい、ご主人サマ。」
「ルッチだ。ロブ・ルッチ、それが俺の名だ。」
「はい、ルッチさん」
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作者名：らむち。 | 作成日時：2023年1月28日 11時
