痛覚_ 3rd_【僕のヒーローアカデミア】 (ページ9)

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気がついたら学校が終わっていた。

結局、あの後のことはあまり覚えていない。

何を言うのが正解なのか、自分では到底わかりもしなかったので、“ありがとう”ぐらいの薄い言葉しか返せなかった気がする。

(もっと言うべきことがあったはずだったのに…)

後悔しながらも家の扉を開くと、ソルが玄関のマットの上に小さく座って迎えてくれた。

「おかえりなさい」

『…ただいま、ソル』

靴を脱いでソルを持ち上げると、不思議そうな顔をしてこちらを見ていたが気にせずそのままソファーに座る。

「ちょっと、皺できるわよ」

(あ、なんかその言葉前にも聞いてた気がする)

けど、その度に私は気にすることも無くこうやってソルのふわふわの毛並みに顔を押し付けて、

『…んー、』

そうだ、こうするととても落ち着くんだ。

何だか心が落ち着かない時はいつもこうしてた。

ソルは優しいから、何も言わずに私の頭に片手を乗せて静かに励ましてくれる。

『…私、最近考えてる時間そんなに増えたかな？』

「えぇ、前よりも長くなったかもね」

『まじかぁー…』

溜息が出そうになるのを、頭を左右に振って誤魔化した。あ、これ気持ちいい。

「…そういえば、もうすぐ“たいいくさい”みたいね」

その言葉に驚いて顔を上げる。

『なんで知ってるの…！？』

「テレビ」

『…あぁ、なるほど』

ソルさんいつから自分で電源付けてテレビ観るようになっちゃったの。飼い主困惑なうなんだけど。

『全然特訓とかしてないんだけど大丈夫かな…？』

いや別に余裕ぶっこいてるとかそーゆう訳じゃなくて、A組の人に言ったらなんか喧嘩売ってるみたいになるかなーって、うん。

「…」

『ま、なんとかなるかー』

ヘラっと笑えばジト目で返された。えっ。