親友兼恋人【東卍】 (ページ10)

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「今日はありがとねケースケ」

「ん、また何かあったら呼べよ」

世の中のカップルっぽい会話を交わして、家に歩いていくケースケの背中を見守る。

もう背中が見えなくなったところで家に入って玄関の鍵を閉める。

もう少しで八月三日、元々愛美愛主との抗争が予定されていた日。

パーが愛美愛主の頭をやったから、元々あった筈の抗争は東卍の勝利に終わった。…はず。

ドラケンも花垣もデートするって言ってたし(花垣情報)、マイキーも祭り行くって言ってた。

祭りの日は沢山食べ物屋台が出揃うから、沢山買っておけばしばらく自炊の必要はない。

それに、ちっこい時から祭りは好きだからいきたい。

どうせなら浴衣も着たいから。

父さんが着てた浴衣を引っ張り出してハンガーに掛ける。

黒い無地で、帯がネイビーカラーのシンプルでカッコいい浴衣。

コレを着た父さんを見るのが大好きだった。

いつも大きい背中が、よりいっそう大きく見えて憧れだったから。

「めい、コレ引っ掻いちゃダメだからな」

足元にすりよってくるめい(黒猫)に声をかければ、返事でもしてるようににゃあ、と鳴き声を洩らす。

めいって名前の由来が知りたいって？

オレの母さんの方の婆ちゃんが「めい」って名前だった。

オレにいっぱい飴くれて、すげえ優しくて大好きだったんだけど今は足腰が悪くて老人ホームにすんでる。

ほんとはけーすけってつけようと思ったんだけど、本物のケースケが嫌がってたから止めた。

「おまえの食えそうなもの合ったら買ってくっから」

抱き上げてキスしようとすれば、もちもちの肉球のある前足で妨害される。

幸せ。

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