RAINY 【hsrb】 (ページ5)

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そして、そんな私を見た星導さんは、ふと思い出したようにテーブルの上にあるティーカップとポットを指し示す。「良かったらどうぞ」とそう添えて。

華やかに鼻をくすぐるベルガモットの香り。じんわりと指先が温まる温度のティーカップ。雨で冷えた身体には優しい温もりで、緊張していた心がほぐれていくようだった。

紅茶を一口含むと広がる優しい甘さ。蜂蜜でも入っているのだろうか。未だに頭の中では、くるくると先程の彼の言葉が回っている。初対面とはいえ、あんな事を言われるとは微塵も思っていなかったのだから。

「……そう言えば、星導さんって普段は何をされてるんですか？」
「ヒーローです。それから鑑定士。基本的に俺の個性が関係してるので、鑑定士の仕事は主に夜がメインなんですけどね」

思考を切り替えるべく、私は彼にそう尋ねた。返ってきた返答にふと思い出したのはとある青年の事。彼も確か、暗殺業をしながらヒーローの役目をしていたような。

「どうかしましたか？」
「あ、いえ……。幼馴染もヒーローやってるって言ってたな、って思って。思い出しちゃっただけです」
「もしかしたらどこかで俺とすれ違ってるかもしれませんね」

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