RAINY 【hsrb】 (ページ4)

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ふよふよ、ふわふわ。私のそばを離れるわけでも、かと言って近づくわけでもなく漂う白い生き物。目で動きを追っていくうちに、「ついてきて」と言わんばかりに左の耳のような部分を動かしたのでついて行ってみる事に。

「すみません、店の事ばかりで」

案内されるままお店の奥を覗いてみると、片付けに一段落ついたのか私の気配に気がついたらしい彼が「そういえば」と口を開きながら振り向く。

「申し遅れました。来店ありがとうございます、星導ショウと申します」
「……光来Aです。よろしくお願いします……？」

会って最初にするべきだった自己紹介をようやく交わしたところまでは良かったのだが、「ほしるべ」と言われてどう書くのか。それがどうにも気になってしまい、名乗る時に疑問形になってしまった。

「えっと、『ほしるべ』って……漢字でどう書くんですか？」
「星に導く、で星導(ほしるべ)。よく読み方聞かれるんですよね」

どこからとなく出てきたメモ帳にサラリと書かれた「星導」の２文字。何となく、自分の苗字と合わせると運命を感じるような。

「星導き、光来る……」

ただ、何となく思い浮かんだだけの文章。視線を感じるような気がしてそちらの方を見れば、じっと私の方を見る星導さん。……多分「口に出てた」とでもいいたいのだろうか。やけに視線が痛い。

「……今のは！気にしないでください！」
「光来さん、でしたっけ。いいんじゃないですか？運命感じるみたいで」

否定するわけでもなく、笑うわけでもなく放たれたその言葉に、私は少しだけドキリとしてしまった。