【文スト】「お前は私の家族だ」【男主】

愛を一つ ページ3

まぁ、正確に言えばこの学校の教師が嫌いだ。


その理由を話そう。


俺には3歳離れてる兄が居る。


兄はこの学校の卒業生で、この学校で色々な事をしてきた。


生徒会会長、バンド活動、異例な医師体験。


定期テストで学年5位に入るのは容易いことだ。


先生からの信頼もあり、同級生との仲も良い。


それらに対して俺はダメダメである。


テストでは兄の得点の半分以下。


友達も少なく、人と関わるのが苦手だ。


この学校には少なからず兄の事を知っている教師がいる。


教師達は口に出さないが必ずこう思っているのだ。


──────｢兄はあんなに出来がいいのに｣


…俺だって出来ることならば兄みたいになりたいさ。


勉強だって色々なやり方で頑張った。


だが、その頑張りはテストに反映されず、


結果を見せれば親はこう言う。


────｢アンタの『頑張った』は信用出来ないね｣


…なら、俺はどうすればいい…？


勉強も人付き合いも、何も出来ない俺は居なくなれば良いのか…？


そう思ったことも多々ある。


と言うかほぼ毎日だ。


親の俺と兄の対応の差が激しいのだ。


兄のご飯は毎回5種のオカズがある。


それに対して、俺のご飯はインスタントラーメン一つ。


当然用意はされておらず、食べるならば自分で作るしかない。


学校での弁当も面倒臭いという理由で割引された小さいパンを持たされる。


だが、兄には手作りのオカズがいくつも入っている弁当を持たせる。


…俺はこの生活が妥当だと考えている。


出来のいい兄をチヤホヤするのは当たり前だ。


…それがたとえ実の親、でも。


だが、俺の心情を知らない親はこう言うのだ。


─────────｢貴方達は私の宝物よ｣と。


馬鹿言え、お前らの本性なんて知ってんだよ。


宝物は兄1人だけだろ、分かってんだよ。


だけど俺の本音はとても子どもらしくて…。


｢愛されたい…誰かと比べないで、俺を見てよ…｣


そんな願望は誰にも届かなくて俺の心の奥底に沈むのだ。

愛を一つ→←愛を一つ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す