その男、公安委員につき②【ヒロアカ】 (ページ43)

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　人気のない所でマイク先生から手を放し、口を開く。

「……いずれバレるとは思ってましたけど……実は俺、公安のカイトとして活動してるんです。ほら」

　そう言いながら、特別免許を見せる。マイク先生が驚いた表情で口を開いた。

「マジかよ？！カイトってお前だったのか！」

　俺は特別免許を懐に戻しながら言葉を続ける。

「そうです。このことは内密にお願いします」
「だからお前と会った気がしたのかァ！」

　マイク先生が納得した様子でそう言っていた。

　言われてみれば、入学翌日、マイク先生に昼飯を奢って貰った時、『どこかで会ったことあるか』と聞かれたな。

　咄嗟に誤魔化したタイミングで相澤先生が来たおかげで、それ以上聞かれることはなかったが。

「まあ、現場で何度かお会いしてますからね。というか、よく分かりましたね」

　俺がそう言うと、マイク先生が真剣な表情で言葉を続けた。

「普段とルックスは違うけどよ、声は同じだろ？気になるヤツの声くらい分かるっての」

　……ん？

「気になるヤツ？」

　そう聞き返すと、マイク先生はしまった、と言うかのように額に手を当て、少しの沈黙が流れた。

「…………あー！そうだよ！お前から目が離せねぇっつーか、目で追っちゃうっつーか……」

　先生がそう言い、頭を抱え始める。

　……それって――

「好きな人に対してのやつじゃないですか」

　俺がそう言うと、「だから俺も混乱してんだろ！？」と何故かキレられた。

「え、なんか、すみません」
「お前こそ、このこと誰にも言うなよ！特にイレイザーとか！」

　マイク先生に両肩をガシッと掴まれながら、そう言われる。

「言いませんよ。人を好きになるのに、相手とか関係ないでしょ。好きは好きなんだから。俺は好意向けられて嬉しいですよ」
「鳶嵩……」

　マイク先生がそう呟いて、肩から手が離れる。
　俺は言葉を続ける。

「じゃあ俺、そろそろ巡回戻るんで」
「お、おう！気ィ付けろよ！」

　何故だか少し顔を赤くしているマイク先生に、「午後の実況も楽しみにしてます」と言い残して、上空から巡回を再開した。

　……あれ、俺何しに屋台まで来たんだっけ？

　結局、昼休憩が終わる少し前に、歩きながら食べられるものを買って、1年生ステージへ向かう。

「さあ！昼休憩も終わって、いよいよ最終種目発表！と、その前に！予選落ちのみんなに朗報だ！」

　マイク先生の声で午後の部が始まった。