その男、雄英体育祭に向けて ページ38
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退院してから数日が経ち、リカバリーガールの治癒のおかげで、ヒーロー基礎学も復帰した。
――
体育祭 前日
――
いよいよ体育祭が明日へと迫った。帰りのホームルームが終わり、俺はみんなに声を掛ける。
「俺は明日出れないけど、応援してるから」
「鳶嵩ぁ！ お前先週からヒーロー基礎学復帰してたろ！ なんで不参加なんだよ！ お前の力借りようと思ったのによぉ！」
峰田がそう言いながらポコポコと叩いてくる。俺は少し屈み、峰田と視線を合わせて口を開く。
「峰田、お前なら俺の力なんてなくても上へいけるだろ。頑張れ」
「お、おう……！ 鳶嵩！ オイラ頑張るぞ！」
そう言ってガッツポーズをする峰田の肩に手を置いて、「その意気だ」と言うと、背中から幾つかの声が聞こえた。
「峰田だけズリぃぞ！ 俺にも頑張れって言ってくれよ！」
「おー！ 俺も俺も！」
「じゃあ俺も！」
声がする方を振り返ると、切島、上鳴、瀬呂が立っていた。俺は少し困惑しながらも言葉を返す。
「お、おう……？ 頑張れ？」
「「「おう！！」」」
なんだコイツ等……と思っていると、横から「オイ鳥野郎」と声を掛けられる。
「……爆豪、俺は鳥野郎じゃない、鳶嵩だ。いい加減覚えてくれ」
「……鳶嵩」
素直に苗字で呼んでくる爆豪に驚きながらも、俺は言葉を返す。
「なんだ？」
「俺はテメェを認めちゃいねぇからな！ 明日の体育祭で1位を取る！ んで俺と勝負しやがれ！」
「別に1位じゃなくても、手合わせ位するよ？」
「違ェよ！ どっちが真にテッペンかを決めるっつってんだ！ そのためにはまず、明日の体育祭で1位を取る！」
そう意気込む爆豪に、「期待してる」と返すと、「お前が余裕ぶっこいていられんのも、今のうちだかんな！」と満足気に帰っていった。
公安に戻り、自室のベッドで寝そべっていると、サイドテーブルの上のスマホが鳴る。
腕を伸ばしてスマホを見ると、メッセージが届いていた。
――
相澤明日、警備よろしくな
任せてください
みんなの活躍見れないのは残念ですけどね
相澤動画撮っといてやるから、それで我慢しろ
はーい
――
そして、いよいよ――
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作者名：玲央 | 作成日時：2021年10月7日 21時
