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「いえ、そういうわけでは……」
目良さんが困惑の表情を浮かべていると、――が口を開く。
「……目良さん、俺、こいつと一緒に寝るよ」
「いいんですか？」
「うん」
「じゃあ、お願いします」
2人がそう話すと、――がこちらを向いて、ふわりと微笑みながら口を開いた。
「A、一緒に寝よう」
「いいの！？ ねる！ めら！ おやすみ！」
「二人とも、お休みなさい」
「おやすみなさい！」「おやすみなさい」
――
啓悟さんの名前を伏せ、目良さんに拾ってもらった経緯を説明した。
「目良さんに引き取ってもらった俺は、金井の苗字を捨て、鳶嵩という苗字を貰いました。それから公安で勉強を教えてもらい、訓練を始めました。
俺が10歳になって少ししてから、少しずつ任務へ行くようになりました。ある日、拘束したヴィランの個性で俺は眠らされました」
――
目を開けると、椅子に括り付けられた自分の太ももが視界に入った。軽く腕を動かそうとするが、それは叶わない。
ゆっくりと顔を上げると、モニターやら機械やら液体やらが並ぶ、不気味な空間が広がっていた。ふと目の前に座る、管に繋がれたガタイの良い男性の姿が目に入る。
その男には、目や鼻、耳が見当たらず、不気味なオーラを漂わせていた。
「……っ！」
「やあ、起きたかい？ 少年」
「……アンタ、誰だ」
「人に尋ねるときは、まず自分が名乗る。そう教わらなかったかな？」
「……怪しい人には名乗るな、とも教わった」
「そうかい。じゃあ、そのまま僕の話を聞いてくれるかい？」
「……聞く以外に選択肢があるなら教えて欲しいね」
「いいね、そういうの。嫌いじゃないよ」
その男はニヤリと笑みを浮かべ、言葉を続けた。
「僕はね、去年一度死んでいるんだ」
「……は？」
思わず口を開く。
男はどこか楽しそうに話を続ける。
「オールマイト、知っているだろう？」
「平和の象徴 オールマイト。知らない人の方が少ないだろ」
「そのオールマイトにね、殺されたんだ」
「殺されたって……アンタは今、俺の目の前で生きてるだろ」
「そうだね。正確に言えば、死んだことになっている、かな」
「……死んだことに、なっている？」
俺は意味が分からない、という意味を込めてそう問う。
「そうだよ。オールマイトと喧嘩をしてね。その時に死にかけた所を、ドクターに助けて貰ったんだ」
俺は男を見据えながら静かに口を開く。
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作者名：玲央 | 作成日時：2021年10月7日 21時
