その男、公安委員につき②【ヒロアカ】 (ページ32)

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「……なら、僕の家に来ますか？君より少し年上の男の子もいますけど、遊び相手になってくれますよ」
「……いいの？おれのこと、きもちわるくない？はねも、つめも、めも、"みにくい"んだって……」
「そんなこと思いません。ほら、おいで」

　そう言いながら差し伸べてくれた手を、そっと掴んで立ち上がる。

「……ありがとう。なまえ、なんていうの？」
「僕の名前は、目良です。目良善見。君は？」
「めら、よくみる……じゃあ、めら！おれはね、かないひらがなで入力してね！」

　ニマッと笑ってみせると、「じゃあAくんですね」と笑顔で返してくれた。

　ゆっくりと手を引かれながらしばらく歩くと、大きなビルの目の前で目良さんが足を止める。

「着きましたよ。ここです」
「うわぁ……！おっきい！」
「入りましょうか」
「うん！」

　ビルのドアをくぐると、何人かの姿が見えた。

「少し電話をしたいので、そこに座って待ってて貰えますか」
「わかった！」

　近くの椅子によじ登ると、目良さんは懐からスマホを取り出し、何やら話している。俺は重たい瞼と格闘していたが、負けてしまった。

「――くん、Aくん、起きてください」
「……ん、おれねてた？」
「起きましたか？もう少しだけ頑張って下さい。今日から君が過ごすお部屋に行きましょう」
「うん……！」

　再び手を引かれ、エレベーターに乗って下へ向かう。ガコンとエレベーターが止まり、ドアが開く。

　少し歩くと、ドアが幾つか並んでいた。そのうちの一つの前に止まり、扉がひとりでに開くと、少し上から声が降ってくる。

「ここが今日からAくんが過ごす場所です。お勉強と運動もしてもらいます」
「わかった！おれがんばる！」
「それと……」

　目良さんが隣の扉をノックし、扉の向こうへ声を掛ける。

「――くん、少しいいですか？」

　すぐに扉が開くと、そこに1人の少年が立っていた。

「なに？」
「今日から預かることになった、金井Aくんです」
「はじめまして！かないひらがなで入力してねです！あ！おにいちゃんも、はねはえてる！いっしょ！おにいちゃん、なまえ、なんていうの？」
「……俺は、―――だよ。よろしくね、A」
「――！よろしく！」

　差し出された手を握り、ブンブンと手を振る。

「それじゃあAくん、1人で寝れますか？」
「ひとり……おれ、またひとりになるの？」

　俺は少し俯いてそう言う。