その男、公安委員につき②【ヒロアカ】 (ページ14)

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「いるんだよ、雄英の先生が2人……だからバレる前に――」

　俺が言い終える前に、啓悟さんはスタスタと歩き始めた。慌てて駆け寄ると、啓悟さんは店のドアを開けていた。

「ちょっと、啓悟さん――」
「やっぱり！鳶嵩リスナーじゃないの！ホークスも！」

　コップを2つ両手に持ちながら、恐らくドリンクバーへと向かっているであろうマイク先生が、ニカッと笑いながら声を掛けてくる。

　……さっき一瞬マイク先生と目が合った気がしたんだよな、と心で呟き、小さく口を開く。

「こんばんは」

　すると、パタパタと奥からもう1人歩いてくる。

「おい山田、勝手に俺のコップ持ってくな……って、鳶嵩？」

　相澤先生にもバレた。

　しかもマイク先生が少し大きい声を出したせいで、お客さんの視線がこちらに向けられている。

「ども、こんばんは……すみません、俺たち店変えるんで。お邪魔しました。けい……ホークス、店変えよう。これ以上目立つと――」
「イイじゃねぇか鳶嵩リスナー！なんなら一緒にどうよ？人数は多い方が楽しいぜ！」
「ほらA、マイクさんもこう言ってるし、お邪魔しちゃおうよ！」

　これ以上目立つとまずい、と言うとしたが、マイク先生に遮られた。

　しかも啓悟さんも同調している。こうなってしまえば俺は手を付けられない。

　いや、相澤先生が断ってくれれば――

「早く入れ、ここで立ち止まったら邪魔になる」

　――最後の望みが断たれた。

　俺は啓悟さんに背中を押され、席の窓際に押し込まれた。啓悟さんがそのまま俺の隣に座り、正面には相澤先生、斜め前にはマイク先生が座るという形になった。

　いつもと違う雰囲気の2人に見惚れていると、隣から声を掛けられる。

「A、何食べる？」
「……俺ゆっくり決めたいから、先に決めて」
「いいから。決まってないの、俺たちだけなんだよ？」

　そう言って啓悟さんは俺に近づき、メニューを見せてくる。

　突然距離が近くなる啓悟さんを気にしないよう、必死にメニューに目を通す。

　カルボナーラを食べたいが、ハンバーグも捨てがたい……

「んー……じゃあ、デミグラスハンバーグがいい」

　そう言って、おもむろにスマホを取り出し、前の2人には見えないように文字を打つ。

　送信すると、隣からスマホが震える音がした。

「俺カルボナーラにしよーっと。イレイザーさん、呼び出しボタン押してもらえます？」

　店員さんを待つ間に、俺のスマホが鳴る。