その男、公安委員につき②【ヒロアカ】 (ページ40)

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「お、カイトじゃねぇか」

　休憩室に入るや否や声を掛けられた。そこへ目をやると、テレビの前に座るプロヒーローデステゴロの姿があった。続けて言葉を掛けられる。

「あら、カイトくん。お疲れ様」
「お、カイト、休憩かい？」

　デステゴロの前に座る、同じくプロヒーローのMt.レディとシンリンカムイだ。「お疲れ様です。みなさん」と言葉を返すと、デステゴロに「隣どうだ？」と勧められ、腰を下ろす。

　デステゴロは煙草を加え、煙を吐いて口を開く。

「この雄英体育祭って、ヒーローとしての気構え云々より、ヒーロー社会に出てからの生存競争をシミュレーションしてるな」
「どういうことですぅ？」

　デステゴロの言葉に対し、Mt.レディが問いかける。デステゴロは再度大きく煙を吐き、言葉を続ける。

「ヒーロー事務所がひしめく中でおまんま食ってくには、時に、他を蹴落としてでも活躍見せなきゃなんねぇってのが、予選の障害物競争だろ？」

　そう言いながら煙を吐くデステゴロに、Mt.レディが煙を払うように手を振りながら口を開く。

「あれ心苦しいですよねぇ」
「貴様！嬉々としてやっていたではないか！」

　以前、Mt.レディに見せ場を取られたシンリンカムイが口を挟む。巨大化したヴィランを拘束しようとしていたところを、Mt.レディの蹴りで片付けられていた。

　デステゴロが肘をつきながら、言葉を続ける。

「その一方で、商売敵と言えど、協力していかなきゃなんねぇ事案も腐るほどある」
「あぁ、騎馬戦がそうですね！まさに！」

　Mt.レディはそう言いながらデステゴロを指差し、それをシンリンカムイに向けて言葉を続ける。

「自分の勝利がチームメイトの勝利になっちゃうもん。相性やら、他人の個性やら。持ちつ持たれつ……」
「サイドキックとの連携、他事務所との合同個性訓練……」
「プロになれば当たり前の活きる術を、子どもが今からやってんだなぁ……」

　デステゴロがテレビの第一種目の順位を見ながら、しみじみと言葉を零した。Mt.レディもそれに続けて「大変ですねぇ……」と呟いた。

　その解説に感心していると、隣に座るデステゴロから言葉を掛けられる。

「にしても、カイトはプロヒーローとして正式に活動する気はねぇのか？トップヒーローとか、色んなヒーローと現場で会ってんだろ？オファーとかされねぇの？」

　俺はその問いかけに少し考え、言葉を返す。