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半球状のモヤが消え、俺はゆっくりと地面に降りる。今この場には、飯田、麗日、佐藤。そして瀬呂と芦戸を庇っていた障子、13号先生が残っている。
「障子くん、みんなは？！ いるか？！ 確認できるか？！」
障子が複製椀から耳と目を複製させ、エリアの方を見る。
「散り散りにはなっているが、この施設内にいる」
そう言う障子の言葉に、みんなは少し安堵した。
「くそ、物理攻撃無効でワープって……最悪の個性だぜ、オイ」
瀬呂がそう言葉を零す。
そして13号先生が口を開く。
「委員長！」
「はっ」
「君に託します。学校まで走って、このことを伝えてください」
「なっ……！」
「警報は鳴らず、そして電話も圏外になっていました。警報機は赤外線式。先輩……いや、イレイザーヘッドが下で個性を消しまわっているのにも関わらず無作動なのは、恐らくそれらを妨害可能な個性がいて、どこかに隠したのでしょう。とすると、それを見つけ出すより、君が走った方が早い！」
「しかし！ クラスのみんなを置いていくなど、委員長の風上にも――」
飯田が口を開くと、佐藤が言葉を被せた。
「行けって非常口！ 外に出れば警報がある！ だからコイツ等はこん中だけで事を起こしてるんだろ！？」
瀬呂が臨戦態勢に入り、言葉を続けた。
「外にさえ出られりゃ、追っちゃ来れねぇよ！
お前の脚で、このモヤを振り切れ！」
そして13号先生が続けて言葉を掛ける。
「救うために、個性を使って下さい！」
障子も前に出て、臨戦態勢に入る。
そして麗日が言葉を続ける。
「食堂の時みたく、サポートなら私、超出来るから！ する！ から！ お願いね！ 委員長！」
麗日の言葉に芦戸が強く頷く。
飯田はみんなの言葉を受け取り、前傾姿勢になる。
「手段がないとは言え、敵前で策を語る阿呆がいますか！」
そう言って、モヤの男が飯田に向かって黒いモヤを伸ばす。
「ばれても問題ないから語ったんでしょうが！ ブラックホール！」
13号先生が飯田に伸びたモヤを吸い込む。
「全てを吸い込みチリにするブラックホール……なるほど、驚異的な個性です。しかし13号、あなたは災害救助で活躍するヒーロー。やはり――」
モヤの男は、吸い込まれる自身の中に黒いモヤを開き、言葉を続ける。
「――戦闘経験は一般ヒーローに比べて半歩劣る！」
そう言うと、13号先生の後ろに黒いモヤが開かれ、先生が吸い込まれていく。
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作者名：玲央 | 作成日時：2021年10月7日 21時
