dimly lit ページ8
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「はざまーす…」
店のバックヤードに入るとパソコンの前に座る店長に挨拶をした。
「おう！おはよう。どうした二日酔いか？」
パソコンに注がれていた視線をこっちに向けると、すかさず俺の顔色をみて店長の松岡さんが言う。
「ん…まぁ、そんなところっす。」
半分笑いながら脚を組んでる姿を横目に、奥の着替え場に足を進めた。
そのままカーテンの仕切りを開けると、入ってすぐの所に置いてある姿見に自分が映る。
鏡に映る寝癖の付いたしかめっ面の男をみて頭を掻いた。
「お前そのまま大学行ってたのか？」
気がつくとすぐ後ろで声が響いた
「最近ずっとこんな感じっす」
制服の掛かっているハンガーを手に取り
机の上に乱雑に置くとワイシャツのボタンに手をかけた
「仕事もプライベートもほどほどにな」
いつもの営業スマイルになった松岡さんは、それだけ言うとカーテンの向こうに消えた。
制服のシャツに袖を通してベストを上から羽織ろうとすると
"カタン"
何かが床に零れ落ちた
それ拾い上げると1人の顔が浮かぶ
オイルライター
煙草に火を付ける時、蓋を開閉したときの音が心地よくて手の中で数回遊ばせた。
"カキーン" "キーン"
響く金属の音と、年季の入った色味
そこから香る特有の匂いが鼻をくすぐる。
指の中に灯る炎は、強く、色褪せない光を放っていて
良く手入れされていることが分かる。
ボトムの裏側に刻印された数字
" H 10 "
オイルライターの年齢、正確には製造年月。
"うん、和に会えなくなる"
脳内に聞こえるその声と共に蓋を閉じると、いい音が鳴ってそれをポケットに閉まった。
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pooh1221(プロフ) - 今、大学1回生のものです。中学３年の頃作者さん本人から占いつくーるの存在を教えてもらいました。今でもよく作者さんの小説を読ませていただいております。本当に文章表現が豊かで頭が上がりません。作者さんの更なるご活躍をお祈り申し上げます (2020年2月13日 16時) (
レス) id: 05dd12fe89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぱん | 作成日時：2019年11月11日 21時
