innocent ページ17
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「ねぇ、この問題分かる？」
「んー、」
「ちょ、こっち向いてくれたっていいじゃん…」
施設に来てから1ヶ月か経った。
前に住んでいた家から離れたのもあって、転校した。
まさきと同じクラスになって、
一緒に帰ったり、宿題をしたり、時間を共にする事が増えた。
少し前の生活には無かった時間
どこかでこいつといる時間が、空間が
嬉しかったのかもしれない。
「俺さ、お父さんもお母さんもいないんだ。」
まさきの落ち着いた声が部屋に響いた。
「俺お婆ちゃん家で育ったからさ。
お母さん、俺産んだ時に死んじゃったの。
物心付いた時には婆ちゃんとお父さんと3人暮らし。」
「そっか。」
「婆ちゃんが、お前の父さんは会社に殺されたって言ってた。」
「会社？」
「なんか、会社のお金が足りなくなったみたいで
お仕事無くなっちゃったんだって。
それで死んじゃった。」
淡々と話すまさきは、いつもと違った。
「それで婆ちゃんと2人で住んでたんだけどね
よく分かんない大人の人達が家に来て
婆ちゃんと何か話してた。
それから、ここに連れて来られたの。」
言い終わる時、そっとまさきを抱きしめた。
「…かず？」
突き放される覚悟で取った行動
自分に込み上げてくる感情が何なのか分からないまま
腕に力を込めた。
そのとき背中にそっと、手がまわった。
互いの鼓動が聞こえてくる。
それ以外何も聞こえない静かな部屋
感じる肌の温もりが、恋しくて、懐かしくて、
ぶつけることの出来ない寂しさを2人で埋め合った。
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pooh1221(プロフ) - 今、大学1回生のものです。中学３年の頃作者さん本人から占いつくーるの存在を教えてもらいました。今でもよく作者さんの小説を読ませていただいております。本当に文章表現が豊かで頭が上がりません。作者さんの更なるご活躍をお祈り申し上げます (2020年2月13日 16時) (
レス) id: 05dd12fe89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぱん | 作成日時：2019年11月11日 21時
