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「どうだった？」
居酒屋のいつもの場所に座るなり開口一番に翔くんが聞いてきた
「そ…」
言いかけたとき
店員さんが来て威勢のいい声が店に響く
「生でいい？」
「お、おん。」
「じゃあ生2つで、あと冷奴ください。」
"かしこまりましたー！"
笑顔でそういうと、そのままカウンターに向けて注文を飛ばす。
「で、どうだった？」
上着を脱いでネクタイを緩めると
袖を捲りながらくりっとした瞳が急かしてくる
「まぁ…その、昼いっしょに食った。彼女の誘いで…」
「え！Aちゃんから誘ってきたの？」
翔くんは話の続きを聞きたいとばかりに
食い気味に前のめりになる
「うん…それでさぁAもAなりの事情抱えてたっぽくて…その、女社会っての？」
頬杖をつくと、翔くんがしっぶい顔して頷いた
それから納得したように口を開く
「智くんさ、学生の頃からそういうとこあんだよなぁ…鈍感っていうかさ笑 いい意味でも悪い意味でも。」
ビールを流し込む翔くんの喉仏をみてると
「ほら、笑 そういうとこ。」
ぽかーんとしてる俺をみて眉を八の字に下げる
「なーんかおれ、知らん間に人傷付けてんのかなぁ」
額をぽりぽりと掻きながらビールを一口
やけに苦く感じた。
「傷つけてるってかさ、ほら大学ん時もさ俺らの知らないとこで追っかけ隊みたいなのいたじゃん。」
「あぁ…いたっけかな。」
「群がってる女子達に見向きもしないでさ、笑
あのとき智くんすっげぇ可愛がってた後輩いたよね、その子とばっか連んで。」
運ばれてきた冷奴を箸でつつく傍ら話を聞く
その子は高校からの友達で、美術部で一緒だったんだよなぁ、やけに気があって同じ大学入ってもよく会ってた。
「けど」
ゴクンと音を鳴らしてビールを飲むと俺の方を向いた
「そいつ裏で結構色々言われててさ…あんまり感情の起伏がない子だったから智くんには分かりにくかったかも知んないけど、俺に相談してきたときがあったんだ。」
俺と翔くんは大学で知り合った仲だけど、気づけばほぼ毎日一緒にいた。
「智くんはその子といる時も全然気にしてなかったけどさ、周りの女子達にその子結構な目で見られてたんだよ。」
そんなこと、今言われて初めて気づいた。
「その頃から智くんにあんまり寄り付かなくなったんだよね。」
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作者名：あんぱん | 作成日時：2019年9月27日 2時
