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がんばるったって…どうがんばんのさ…
昨日の翔くんの言葉が頭の中でぐるぐるまわって
「そういうとこがモテんだよなあ…」
「ん？何か言った？」
横の席から同僚がパソコンをカタカタ打ち込みながら俺に話しかけてくる
" 大野〜、この書類Aちゃんの席に持ってっといて "
その同僚は無視して、課長から呼ばれてその書類を取りに行く
いつからか、Aは会社のみんなからちゃん付けで呼ばれるようになった
その呼び名にムスッとしながら、課長のデスクへと歩いていく。
髪のない頭をポリポリと掻きながら大きな欠伸をして俺の顔を覗き込む
「お前、なんか顔怖いぞ？体調でも悪いのか？」
そう言われて初めて自分の心情が表に出ている事に気づく
「あ、いえ…分かりました。」
渡された資料をパラパラとめくり連絡先が書かれた紙がないかそれとなく確認する
ってこの資料課長がチェックするやつじゃねぇのかよ…
"まぁ〜た変な夢にでも取り憑かれたか〜？"
後ろ手にそう言われて、思わず書類の端をグシャっと握ってしまった
あんのハゲ親父…
Aのデスクは棚を挟んで向こう側にあって
幸い両隣は女の社員でほっと胸を撫で下ろす
歩きながらなんでか知んないけど、心臓がドクドクして変な緊張が体を襲った。
近づいていくと、となりの女性社員と何やら楽しそうに話してるAの姿が見えた。
「Aちゃん、この書類の確認お願いしていいかな」
いつも通り会社向けの口調で言うと、彼女はパッと振り向いて少し笑顔を向けた
俺にしかみせない、柔らかい笑顔で。
「はい、わかりました。」
書類を渡して立ち去ろうとしたそのとき…
「あの、大野さん、今日のお昼空いてますか？」
彼女の口から出た思いがけない言葉に俺の動きは一瞬止まった
「駄目…ですか？」
駄目なわけねぇだろ…！！
くるりと向きを変えると、Aが上目遣いで見てくる
「あ、ああ、うんお昼ね、お昼そうだねぇ！」
クソ下手な日本語に自分でも本当に何かに取り憑かれたんじゃねぇのかなんて思った。
彼女の口から出た以外すぎる言葉に気持ちはランランルー状態
「なんかいい事でもあったか？」
自分のデスクに戻るなり椅子に座った俺を見て
ニヤニヤしながら話しかけてきた
「俺お昼ちょっと席外すわ」
「ふーん」なんて気持ち悪ぃ声出して
「お前の顔今最高に気持ち悪いぞ♪」 って…
お前に言われたくない
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作者名：あんぱん | 作成日時：2019年9月27日 2時
