sweet day (ページ19)

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Amethyst... ページ19

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「ねぇ、ここ分かんない。」

くるりと向きを変えてちらっと私をみると
そのままレポートに視線を移した

「どれどれ、どこ？」

「この読み方、教えて。」

問題を指差すとクルクルと回る椅子が左右に揺れて
その度に組んでいる足が私に当たる

「こーれは、剛毅木訥(ごうきぼくとつ)」

「こんな難しい字読めないやん…」

左手に教科書を持ちながら

「ここに読み方書いてんだろばーか。」

ペンを持ってる右手の中指でおでこをパチンと
弾かれた。

「ったいなぁ…こんな端っこに書いてある字、見つかる訳ないじゃん！」

デコピンされたおでこは、全然痛くなかったけど

大げさに抑えながら松本先生を睨む

そのやり取りを見ていたらしく、背後から声が聞こえた。

「あぁ、松本先生また生徒いじめてる笑」

声の方を振り向くと松本先生と同じ白衣を着た
櫻井先生がにやにやしながら近づいてきた

「こいつ、馬鹿すぎて櫻井先生変わってくださいよ～。」

冗談らしく嫌味ったらしい言葉を並べると
教科書を机に置いてちらちらと私を見た

「えぇ…じゃあ俺が貰っちゃおうかなぁ～」

「ちょっと、あげるつもりはないですよ。」

櫻井先生の言葉に松本先生の眉がピクッと動いて
少し焦ってるのが分かる

「ふは、冗談だって笑仲良くね？」

私達を交互に見ると、担当の生徒の所に帰っていった。

その反応に面白くなってちょっと揶揄ってみる

「はぁ～あ、櫻井先生に教えてもらおっかな～」

すると、鋭い目がこっちを睨んできて

めちゃくちゃ怒ってるのが分かる

「じ、冗談だって…」

思わず椅子に座ったまま後ずさると

ぽってりとした唇がゆっくりと開いた

「殺す」

相当怒らせちゃったなこれ…

「はい、ご、、ごめんなさい」

その目力に圧倒されていると、さっと目を逸らして
視線を教科書に移した。

「明日までにこことここ、それとこのページのテキストとレポートの論語のとこ自力でやってきてね、全部ね。」

教科書のページ数の所に赤ペンで簡単な丸を付けるとそれをパタッと閉じて渡してきた。

それと同時ににっこりと笑った顔からは恐怖しか感じない

嘘でしょ…

「分かった？」

返事に躊躇っていると、遠慮なくその切れ長のはっきりとした瞳に覗き込まれて

「あ、は、は、はい。」

頷くしかできなかった。