最凶災厄の薬師 ページ38
…一週間後、私は魔術院に入学する
元々魔力が一定数あれば強制的に入学だから変わらないけど
私が養子であっても爵位は公爵
勝手に私を養子にして、権力を強めようとした馬鹿達は床で転がっている
ネクロブラッド家の当主とその妻
私が、殺した
「よかったのですか？
まだ利用する価値はあったかと…」
「別にいいんちゃう？
元々、好きで養子なったんとちゃうし
…私と師匠を離ればなれにさせた馬鹿共に、罰を与えたまでや
それに«隠蔽»するからばれんばれん」
私はただの贈り人
そして、ちょっと珍しい薬や魔法が使えるだけ
強いて言うなら…
「…«強奪»」
「(もう私は違うから、知らんくていいや)」
私は«強奪»を使い
目の前にゴロゴロと転がっている残骸のスキルを奪う
「«時空間魔法»に«移転»…
これは使えるな、ソフィも思うやろ？」
私はネクロブラッド家の財宝と言う財宝を時空感魔法に全部入れ
後ろにいるソフィに話しかける
ソフィは微笑んでコクリと頷いた
「はい、アーニャの役にたつと思います
では、早速«移転»を使ってみましょう」
私は言われた通りにすると
いきなり風が吹き、浮遊感があった
目の前の風景は変わっていて、成功したんだとわかる
「アーニャ、よくできました」
そう言ってソフィは私の頭を撫でてくれた
子供扱いだが、嫌ではない
「せや、一応手紙送らなな」
私はポンッと紙を出し、スルスルと手で紙をなぞり文字を書いていく
この手紙は他国に留学している義理の兄へだ
家にいるのが嫌だからと出ていった兄
兄が家にいたがらないのは両親が嫌いだから
なのに両親は召し使いが気にくわないのだろうと思い込み
兄がなついていた召し使いを次々と辞めさせた
兄が嫌いなのは自分の父親と母親
“あの二人は死んだ
家に戻ると財宝が全て無くなっていた
物取りにすると強すぎる
私は魔術院に通わないといけない
確かもう修業は終っていたでしょう
強制にとは言わないが、戻ってきて家を継いでほしい
そして辞めさせた召し使い達の大半は戻ってくる手引きをしてある
別に爵位を手放すでもいい、どうする？”
「スー、おる？」
「はいはーい！どったの？」
空間に亀裂が走り、そこからチャイナドレスを身に纏った女の子が出てきた
私はスッと手紙を渡す
「これを兄のとこへ」
「はーい！」
スーは朱色の小鳥になり
手紙を紐にくくりつけて持ちやすくしている
そのまま小鳥は、空の彼方に飛んで行った
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