10 ページ10
作業しながらも伊沢さんの語りを延々と聞いたり、山本さんから変な質問を受けたりする。
そんな和やかな空気の中、ふと耳元でプーンという音がした。
音の方を見ると丁度1匹の虫が伊沢さんの頬に止まった所だった。
｢伊沢さ、｣
ペシ、と頬に触れると同時に伊沢さんの体がビクッと大袈裟に跳ね上がる。
｢…えと｣
丸い目をした伊沢さんがこっちをみた。
3秒ほど何も言わずに見つめ合う。
予想もしていなかった反応をされたもんだから、私もなんて言っていいかわからずに言葉が出てこない。
｢どうした？｣
先に口を開いたのは伊沢さんだった。
｢む、虫が止まってて…｣
私がそう言うと｢むし…｣と伊沢さんは小声で呟やく。
｢あ、あー。虫ね。はいはい。ありがとね｣
にこっと頬を抑えながら笑って見せた伊沢さん。
だけどどうにも引っかかる。
疑いの目を向けてるのがバレたのか、何も言わないうちに伊沢さんは視線をフイと私から逸らしてしまった。
｢…。｣
私はその後さっきの言葉に特に返事をすることも無く。
なんとなく気まずい空気がオフィスに流れてる気がして、私は一言も言葉を発せなかった。
黙々と編集、出演者の発言内容の裏取り作業だけを繰り返していく。
悲しいかな、この状況の方が遥かに作業スピードが上がった。
3時間くらいたった頃であろうか。
｢俺、作業終わったから今日は帰りまーす｣
ふーっと息を吐いて伊沢さんが立ち上がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
natunekokono(プロフ) - ありすさん» そう言って貰えて嬉しいです!!笑そこ私も気に入ってるので嬉しいです、ありがとうございます！ (2019年8月24日 1時) (
レス) id: 45e575b4a8 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - 初めまして、なんとなくこの小説を読み始めたのですが、夜の早慶戦で大爆笑してしまいましたwwww凄い面白いです！ (2019年8月23日 6時) (レス) id: e88d06d936 (このIDを非表示/違反報告)
natunekokono(プロフ) - 好きなようにむちゃくちゃ書いてそう言って貰えるの糞嬉しいです！wwwありがとうございます！どんどんやります (2019年8月18日 1時) (レス) id: 45e575b4a8 (このIDを非表示/違反報告)
natunekokono(プロフ) - ぶどうさん» それは…その…濃厚なやばい世界でしょうね！！！！！コメントありがとうございます(＞ ＜)！！！ (2019年8月18日 1時) (レス) id: 45e575b4a8 (このIDを非表示/違反報告)
natsukomizumura(プロフ) - わろたwwwwwwwwwwwこんなやりたい放題な小説初めて見ました…いいぞもっとやれ (2019年8月17日 23時) (レス) id: 48120fdd9a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：BAKO | 作成日時：2019年8月14日 21時
