第37話 ページ38
開くドアから抜けて駆け上がる。
目の前に広がる夜景がやけに輝いて見えた。
「こんばんは」
「おっ、来た来た。」
嬉しそうな山本君から缶を貰い彼の声を待つ。
「じゃあ、行くよ？今年もお疲れ様ぁ！」
皆がグイッと顎を上げてお酒を飲み込む中私は冷たい缶を机の上において、ノートパソコンを開く。
「え〜まだ終わってなかったの？」
「雰囲気だけでも味わいたかったので」
「そかそか」
そう言って彼はソファに座り直す。
川上さんが居ないのは少しだけ期待外れだった。彼とは何となく話しが合いそうな気がしていたから。
彼と長く一緒にいる彼は、彼がいなくなったらどう思うのか、気になった。
カタカタとキーボードを叩きつける。皆の笑い声がBGMとなって捗る。
今日までに仕事を終わらせようと思って、昨日夜遅くまで起きていたせいか少し眠い。
終わったら寝てしまおう。そんなことを考えながら、キーボードを叩く。
──────
目を開けると眩しくて目を細める。
しんと静まり返った部屋の中で目を覚ました。
お酒の匂いが充満した部屋は居るだけで酔ってしまいそうだった。
顔を上げて辺りを見回すと伊沢さんが御山さんの横の椅子に座って仕事をしていた。
「あ、伊沢さんおはようございます」
「お、川上起きたのか。」
のそりと立ち上がって珈琲を淹れる。頭がギンギンしてウザったい。
パソコンの横に珈琲を置くと片手でありがとうと合図する。彼の2つ隣に座って珈琲を1口飲む。
「隣、来いよ」
「でも、仕事の邪魔しちゃいけないし。」
「いーのいーの」
渋々促された椅子に座ると彼はニコニコとしながら俺の方を見た。
「……なんですか？」
「なんか久々だなぁって」
そう言いながら背中を椅子の背もたれに預け彼女の方を見る。肩にかけられたブランケットかけ直して小さく微笑む。
「御山さんと俺、喋ったことないかもしれないです。」
「え？そうなの？」
目を丸くして驚く彼。彼と彼女の関係はQuizKnock内でも噂されていた。俺も気になる。
「御山さんってどんな人なんですか？」
「え……むずいな」
顎に手を当てて俯く。彼が考え事をする時の癖だった。
「なんて言うか、……難しい人？」
「難しい？」
「ん〜なんて言えばいいのかなぁ……なんか、面白いけど、難しい」
「…………なんですか、それ」
「俺でもわかんねぇんだよ！」
口を尖らせ拗ねる彼は幼児のようで甘やかしたくなる。
「優しいですか？」
「そりゃあ、めっちゃ。」
そう言ってまた彼女の頭を撫でた。
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けろすけ(プロフ) - ありがとうございます!!嬉しいです！これからもマジで頑張ります！ (2020年4月23日 11時) (
レス) id: 38524bae7d (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - コメント失礼します。いっつも楽しみにしてます。描写がめちゃめちゃ好きで読んでると思わず「儚ねぇ,,,」ってなります。応援してます！これからも頑張ってください！ (2020年4月23日 1時) (レス) id: eee79864a1 (このIDを非表示/違反報告)
けろすけ(プロフ) - すずどらさん» コメントありがとうございます!!良かったです!!勢いで投稿しているので、消したり作り直したり沢山すると思いますが完結できるように頑張ります！ (2020年4月21日 15時) (レス) id: 38524bae7d (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 初コメ失礼します。良いですね、涙腺が緩みっぱなしです。izwさんと夢主ちゃんの暖かい風景に隠れた切ない秘密がぐっと来ます。izwさんがいなくなったらメンバーは号泣しそうだな、なんて妄想しています。勝手に語ってすいません。これからも頑張って下さい。 (2020年4月21日 11時) (レス) id: 60ae3ef212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：けろすけ | 作成日時：2020年3月20日 13時
