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一緒に行こうかと言ったものの、私はこれから大学まで本を返しに行こうとしていたことを思い出す。
『あ、私大学に本返しに行かなきゃなんで、送ることしかできないですけど、、、』
送るなんて言葉、男性に使うのは初めてだ。
すると渡辺さんは困ったような顔をして、
渡辺 「ファンの方だけど体調悪いし仕方ないのでお言葉に甘えさせてください、、オフィスに向かってる途中だったんです。」
え??私今からオフィスに行けるの??と思って思わず頬が緩む。
渡辺 「ごめんなさい、ここなんですけど連れて行って貰えますか?」
バツの悪そうな顔でスマホに地図を出す渡辺さん。
割と近いのでなんとか行けそうだ。
ただ、問題はどうやって連れていくかで、私より身長の高い渡辺さんに肩を貸しても意味が無いし、むしろ私が倒れてしまうだろう。
『嫌だったらごめんなさい。手、貸してください?』
渡辺 「え、、あ、大丈夫です。嫌じゃないです。あの、名前聞いて大丈夫ですか?」
渡辺さんの大きな手に少し緊張する。
『あ、鳴海Aと言います!』
それからも他愛のない話をして、
渡辺 「鳴海さんはどこの大学なんですか?」
『東京大学です。今年入学したばかりですけど、、』
渡辺 「そうなんだ!!じゃあ俺、先輩だね!」
東京大学と伝えた途端に敬語が抜けちゃう渡辺さん。
こういう所もみんなに愛されてるんだろうなあと思う。
『そうですね笑 理学部ですけど笑』
渡辺 「へぇ〜クイ研とか入る予定あるの??」
『はい!一応、、クイズ弱いですけど高校生の時からしてるので』
渡辺 「すごいな〜あ、Aちゃんって呼んでい?」
『あ、はい、、大丈夫、です』
渡辺 「あ、嫌だった?」
『嫌じゃないけど男性に下の名前で呼ばれたのって小学生以来で、、』
渡辺 「まじで!?そんな可愛いのに〜」
大人はこんなに余裕で可愛いとか言っちゃうの!?
渡辺さんの方をみるとどうしたの?といわんばかりに可愛い笑顔で笑いかけてきた。
『渡辺さんも、、かわ、 あ、かっこいいですよ!!』
渡辺「ありがとう。可愛いはよく言われる笑」
かっこいいのほうが嬉しいけどね、と渡辺さんが呟いているとオフィスに着いた。
繋いでいた手を離して渡辺さんがドアに手をかけた。
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作者名:あおい | 作成日時:2020年5月28日 1時