無理すんなよ ページ5
Aside
最近は少し疲れもあって情緒不安定だったり、いつにも増してデリケートで皆に迷惑を掛けてしまった。
でも皆が私を支えてくれて、もうきっと大丈夫。
今日は5人でオフィスに泊まることになった。
私一人じゃ危ないからと誰か1人が一緒に泊まってくれるらしい。
毎度毎度申し訳ない。
来客用の布団を並べてから皆各々作業を始めた。
私は明日の台本をサラッと予習してから寝ることにした。
ボロボロで書き込みだらけの汚い台本を鞄から引っ張り出す。
すると川上さんが台本の表紙を見つめる。
貴「汚いですよね。w」
自分でやったのになんだか悔しくなった。
川上「いや、頑張ってるなぁと思って。台本、そんなんになるまで読み込んだんでしょ？」
川上さんの言葉に驚いた。
最近は認めて欲しくて、仕事も何もかも全力でしていた。休む暇もないくらい。
無我夢中で読み進めて、書き込んでを繰り返したこの台本を見て川上さんは頑張ってると言ってくれた。
そんなこと言われたことない。
見た目だけで判断されて、いつも悔しかったのに。私の努力を見つめてくれている。
貴「ありがとうございます」
口角が緩んでいくのを感じで咄嗟に言葉を発した。
川上さんはアニメが好きらしいので、見てくれているのだろうか。
それならもっと頑張らないと。
書き込みだらけの台本を開く。
努力が目に見えてわかる。こんだけ頑張ったんだ私。
達成感がすごくて、その日の台本読みはいつもより短く済んだ。
お先失礼します。と一声かけると、皆はおやすみーと手を振ってくれる。
扉を静かに閉めて部屋に入る。
濃い一日だったなぁ。改めてしみじみ思った。
今度また、お姉さんの所に行ってみよう。
きっと大丈夫。
私はひとりじゃない。
布団を静かに被って目を閉じた。
まだ夜が明けていない、午前4時頃自然に目が覚めた。
身体を起こしても重くない。心が軽くなった気がした。
カーテンを開けても光が差し込まない。
世界は真っ暗だった。
準備を始めて、部屋を出ると拓司がリビングのソファに座ったまま眠っていた。
相当疲れていたんだろう。
拓司だってお姉さんのこととかQuizKnockのこととか沢山あって大変なんだ。
甘えてばかりじゃいられない。
拓司にブランケットをかけてからオフィスを出ようとすると、拓司が私の腕を掴んだ。
貴「起きてたの？」
問いかけても返事はない。寝ぼけてるんだ。
伊沢「無理すんなよ」
そう呟いた。そんな気がした。
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作者名：けろすけ | 作成日時：2020年1月13日 18時
