【QuizKnock】Ranunculus 〈2ndstory〉 (ページ1)

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あれからページ1

須貝side

あれからかれこれ1ヶ月は経ったと思う。

だけどまだ2人は式をあげていない。

入籍すらしていない。

確実に何かがあったんだ。俺でもわかる。

Aさんはまた仕事が入って忙しいようでオフィスに来ていない。2人はちゃんと連絡をとっているようで、喧嘩したということは無さそうだ。

伊沢も笑っているが疲れが見える。テレビに映るAさんも疲れているようだった。

確かにAさんも伊沢も最近予定を詰めまくって自分を責めている感じがする。

俺は伊沢を仮眠室に呼んだ。

伊沢は俯いたまま、部屋に入り、静かにドアを閉めた。

伊沢「Aのことだよね」

俺が口を開く前に伊沢が言葉を発した。

須貝「そうだよ。本当ににお前らどうしたの？」

心配で仕方ない。2人は兄弟のように可愛がっていたし、幸せになって欲しい。

伊沢は俯いたまま話し始めた。

伊沢「別に喧嘩した訳じゃないんだ。だけど…」

言葉が詰まる。伊沢は唇を噛み締めて目を閉じる。

俺は黙って伊沢の言葉を待った。

伊沢「俺の、家に来た、養子の姉が…認めてくれなくて…」

申し訳無さそうに言った伊沢の顔を俺は見つめていた。その目は寂しそうで悔しそうだった。

伊沢「仕事と、恋愛は、別に、しろって…アイツは、俺と、比べられる、ことが、多かった、から…俺を…」

涙を堪えながら話す伊沢を見つめていると俺にも悔しさが伝わってくる。

伊沢「アイツは、Aをボロクソに言ったんだ。俺は反論したよ。でもAは俺を止めた。笑って止めたんだよ。」

顔をあげて俺を見つめて訴えるように話す。

その目は色んな感情が混じって濁っていた。

伊沢「Aは笑ってたけど、前、1人で泣いてた。最近では認めて貰うために仕事詰めて無理してる。俺は、Aの事を守ってやれなかった。Aが泣く所もう見たくないのに、俺は何もしてやれない…」

伊沢の目から溜め込んだ涙が流れる。1度流れた涙は止まることなく、次々と溢れ出て流れていく。

俺は机に伏せて声を殺して泣いている伊沢の背中を擦りながら言葉を探す。

こういう時なんて声をかければいいのか俺にはわからなかった。

須貝「今はAさんを支えるのがお前の役目だろ？いつも傍にいてやれよ。お前が悲しそうにしていたらAさんのことだからきっともっと無理する。」

伊沢は涙を拭きながら顔を上げる。

須貝「とりあえず今は休め。すげぇ疲れてるだろ？」

伊沢はごめんと呟きながらもう一度顔を伏せた。