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一緒に fkr ページ13

yourside

『福良さん。なんで、いきなり家に呼んだの?』

私の彼氏。福良さん。

私の長らくの片思いが実は両片思いだったことを知っていた伊沢さんから背中を押されて、
頑張って告白したところ、まさかのOKをいただけたことから始まった交際なのだが、
はたしてこれは本当に両片思いなのかな。

「うん?デートを計画するのは無理だったから。でも、会いたいし。」

私にはもったいないひとだよ。

「やっぱり、デートの計画、したほうがよかった?」

追い打ちぃぃぃ。

『だい、じょうぶデス。‟話したいことよりも何よりもただ逢うために逢いたい‟から。』

久しぶりに読んだ本に力を借りてみる。

「ふはっ、まさか、竹久夢二とは。」

わかっちゃうんだ。
やっぱりすごいな。

「ちょっ、そんなキラキラした眼で見ないでよ。はは、」

笑いが止まらないらしい。

「なんか、Aちゃんの瞳を見てるとさ。‟君を夏の日にたとえようか。いや、君の方がずっと美しく、おだやかだ‟って思っちゃって。」

えぇーっと、

『しぇいくすぴあ?』

「そう、Aだって、よくわかったね。」

だって…

『これに、のってたもん。』

そういって福良さんに差し出した本の題名は
〈I Love Youの訳し方〉

「それ、読んだからわかったの?」

『うん。恥ずかしいなー。』

「自分から言ったんでしょ。」

おしゃべりしていた時にいつの間にか好きな言葉の話になっていて、さらに福良さんのセリフに心がざわめいた。

『えー、‟もう青春は終ったと思っていたのに‟かな。』

「僕は‟つかの間の、別れさえも、つらくてならぬ、私なのに。もうこのまま、会えないなんて、私の心は、凍てつきそう‟かな。」

『案外、女々しいんですね。』

ちょっとばかし考えている様子の福良さん。

「そう、なのかな。でも、いつも心の中はこんな感じだよ。」

福良さんが…?
『私は、福良さんの心を凍らせるなんて惨たらしいこと、しませんよ。』

「そうだよね。でも、ヘタレなんだよ。」

福良さん…。

「付き合う前も俺ばかりが惹かれていて、Aは他の誰かと付き合っちゃうんじゃないかって不安だったんだよ。」

そんなわけないのに。

『私、実は福良さんが初恋なんですよ。』

「えぇ、そうなの?案外そういうことってあるのかな?ちょっと優越感だな。」

『福良さんは?』

「俺は。恋はしたけど愛してるのは初めてかな?」

fin._
福良さん、理系なのに文学系ばっかり。

わかれどころ。

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作者名:わかれどころ。 x他1人 | 作成日時:2020年4月5日 23時

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