Dear(2)【Q.u.i.z.K.n.o.c.k】 (ページ12)

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伊沢さんに、「話すならもっと広い部屋があるよ」と言って違う部屋に案内してもらった。
確かに広い部屋だ。
椅子も机も人数分あるし、ホワイトボードや多くの機材も置かれている。
少し落ち着かないけれど、こっちの方がいいなぁと私は思った。

部屋について、私を真ん中にまわりに皆さんが座る。私の両隣には話を知っている川上くんと伊沢さんが座ってくれた。
川上「無理しないでいいから。Aの言葉で、ゆっくり話して。」
A「…うん。」
川上くんはさりげなく私を呼び捨てにした。
私はびっくりしたけど、もう付き合っている。恋人の関係。だからいいな、なんて軽く考えた。
でも、隣で伊沢さんがえっ？とびっくりしていたからあとでこの話もしなきゃだ。

A「…大袈裟にしてしまって、本当にすみません。皆さんに話したいことは、大きく分けて二つ。一つは、私の過去についてです。」

私はそう切り出して、伊沢さんと川上くんに言った自分の過去の話をした。
動画のコメントは見ていないけれど、私に送られた画像からしてきっとそういう内容なのだろうと理解していた。
だから、私はありのままの話をした。

援交のこと、親のこと。
私は汚くて、荒んでいて、皆さんが思うような綺麗な人間ではないということ。

ゆっくりと自分の言葉で話していくうちに、少し手が震えてきた。
その様子に気づいたのか、川上くんは机の下で私の手を握った。それだけで緊張感が緩んで、落ち着いて話せた。
川上くんの力って、すごいな。

A「____ということです。私は皆さんにずっとこんなことを隠してきました。本当にすみませんでした。」
私は深く頭を下げた。
許されるまで、理解してもらうまで。ずっと頭を下げた。

ふくら「Aさん、顔あげて。」
ふくらさんのその一言で私はゆっくり顔を上げた。
ふくら「伝えてくれてありがとう。…きっと辛くて苦しくて、悩んでたと思う。そんな大切なこと、俺らはどんな時に聞いても受け入れてたと思うよ。」
ふくらさんはそんな優しい言葉を発した。

河村「受け入れる受け入れないなんて関係ないよ。僕達は大切なQuizKnockっていうグループの仲間で、一人でも欠けたらいけないからね。」

こうちゃん「Aさんの思い、確かに受け取りました。…本当に辛かったですよね。でもAさんにどんな過去があっても、僕らが知ってる今のAさんはずっと素敵な人です。」

どうして、そんなに優しいんですか。
私はぼろぼろと涙を流した。