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もしかして、気を使ってくれた…?
でもこんな所で二人にされても困ります、伊沢さん。
川上「荷物、持ってくれるんですね…」
A「ほんとですね…」
私と川上くんは小さく笑いあって、オフィスにゆっくりと帰ることにした。
多分、川上くんは伊沢さんの計らいに気づいてるのかもしれない。だけど、私の気持ちに気づいていないことをただだだ願うばかりだ。
川上「Aさん。」
A「はい?」
私は歩きながら川上くんを見上げる。
私の右側をゆっくり歩いてくれるところに優しさを感じる。
川上「Aさんは、僕のことどう思ってますか。」
私はドキリとした。
どうして、そんなことを聞くんですか?そう尋ねたかったけれど、言葉は出ない。
少し手が震える。
A「どう、って…。」
"好きな人"なんて口が裂けても言えないんです。
川上くんは私の瞳を真っ直ぐ捉える。
私は思うように言葉が出なくて、立ち止まった。
A「…ゆっくり、お話しませんか?」
私はそう言って、公園を指さした。
19時30分。動画投稿まであと30分。
I side
伊沢「ただいまー…」
両手に荷物を持ってオフィスに着く。
二人きりにさせるためだったものの、自分への負担が大きすぎた。
俺はひとつ大きな息を着いた。
こうちゃん「お疲れ様です。」
ふくら「あれ?Aさんと川上は?」
ふくらさんに想定内の質問をされる。
伊沢「いい感じだったから、二人にしてきた。」
こうちゃん「まじですか」
こうちゃんとふくらさんはにやにやしている。
それもそのはず。
いつもの部屋にあがり、鍋の準備をする。
準備をしながら、話は弾んだ。
ふくら「それにしても、川上も確信犯だよね〜」
こうちゃん「そうですよね、告白すればいいのに。」
伊沢「川上は、"Aちゃんから"を待ってるんだよな。」
違う部屋にいた山本も楽しそうな話に耳を傾けて来た。
山本「何の話ですか?」
ふくら「川上とAちゃんの話。」
ふくらさんはにこにこといった。
ちなみに、オフィス内のメンバーにAちゃんの気持ちも川上の気持ちもバレている。
広めた訳ではなく、なんとなく勘づいていたことが全員にあった。
山本「川上さん、ずるいなぁ」
こうちゃん「美人な彼女さんになりますもんね」
でも、Aちゃんの過去の話は誰も知らない。
少なくとも、俺と川上しか知らないだろう。
二人とも一歩の勇気が出ないから、俺は二人のサポートに徹すると決めた。
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作者名:柊木 | 作成日時:2019年2月5日 16時