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「……、すみません、大きな声で……」
口を抑え、消え入るような声で再度謝っておく。
「こういう奴だ、風見。」
肩にごく優しく手が触れられる。
「疑うんなら、諸伏に名前を出して聞いてみるんだな。
何せ、この彼女に命を救われたんだから」
「は……!? 分かりました、では失礼します」
一瞬狼狽えた風見さんだったが、直ぐに平静を取り戻し病室を出ていった。
同時に触れていた手が離れ寂しさを感じる。
「結衣、少しだけ傍にいてくれないか?」
「あ、はい。勿論そのつもりですけど……」
「?」
あの、と接ぎながら唐突に現れた欲求に、何を考えてるんだと自分を戒めながら口を開く。
「……零さん、今からものすごい不謹慎なこと言いますね」
「うん?」
そして不謹慎な上に小っ恥ずかしい。
大きく息を吐いて、それでもやっぱり羞恥心に耐えず小さな声で切り出した。
「……抱き、ついても良いですか?」
言葉が終わるか終わらないかくらいで。
いきなりぱふ、と頭に手が乗せられて肩が跳ねた。
「え!? なに、何ですか零さん!?」
「……可愛すぎるだろ……いかん落ち着け……未成年…………」
わしわしと髪を乱しながら何かブツブツと呟いている。
その様子を見ていると、手が退かれてん、と言って両腕を広げられた。
「はい。したいんだろ?」
「……なら、失礼します…………」
おずおずその空白に身を寄せて、零さんの広い背中に腕を回して、胸に顔をうずめた。
肌に触れてる分体温を直に感じる。
顔にもほんのり熱が回るけど、それ以上に、安心の息を洩らさずにいられなかった。
生きてる。
零さんも私も、今ここで息づいてる。
良かった。
「良かった……」
口からも小さく、零れた。
「本当に、お前は……俺が言える話じゃないが……何て無茶をするんだ……」
私の背に手が回され、温もりに包まれる。
「あれでもし大怪我するようになってたら、冗談抜きで恨んでたぞ……
あんな大胆なこと言っといて」
「すみませ、ん……?」
“あんな大胆なこと”?
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camellia(プロフ) - さねみんと安室推しさん» ご指摘ありがとうございます(土下座) うわホントだ……書いてる間に勝手に脳が誤変換起こしてましたね……偽名は緑川です即刻修正する所存ですごめんなさいありがとうございました! これからもどうかよろしくお願いします!! (2021年3月2日 12時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
さねみんと安室推し - すいません、6ページでスコッチの偽名が緋色光ってなってましたが、シリーズ二作目で夢主に再会した時スコッチは緑川光って紹介されてませんでしたか??偽名を変えたと言うことなんでしょうか?気になったので・・(^_^;) (2021年3月2日 11時) (レス) id: ff085d1bee (このIDを非表示/違反報告)
愛丸(*´∀`)(プロフ) - ありがとうございます!!3日以内には載せますね!! (2019年10月22日 23時) (レス) id: ff7339904f (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - 愛丸(*´∀`)さん» わあ! 今少しですが作品の方見させていただきました!コナン風の画なんですね。是非ともよろしくお願いします! ご質問があれば遠慮なくどうぞ! (2019年10月22日 22時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
愛丸(*´∀`)(プロフ) - 「名探偵な絵を描く。」という夢主のイラスト集作ってるんですが、貴方の夢主さん描いてもいいですか?? (2019年10月22日 22時) (レス) id: ff7339904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:camellia | 作成日時:2018年9月9日 13時