小さな探偵の正体を知る義眼の女子大生が公安の協力者になる話。【ゼロの執行人】

47　風見side ページ48

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　「……ごめんなさい、風見さん」





　応急手当に使用したのであろう、血が付着したカーディガンを抱きしめたまま彼女が静かに頭を下げた。






　「そんなことをなさらないでください。一般人の貴女を巻き込んだ責任は降谷にあります」






　…………彼女が本当に『一般人』なのかは甚だ疑問だが。






　「いえ、私のせいです。私を庇わなければ、まだここまで酷い怪我にはならなかった。





　…………貴方達にとっても大切な人を、私のせいで多く傷つけてしまった。





　すみませんでした。」





　「…………」





　頑なに頭を上げない彼女に、思わず言うべき言葉を迷った。







　貴方達にとって『も』というのは。





　…………そういうことなのだろうか。





　彼女の感情自体に違和はない。





　逆に長く接していて心を動かされない女性の方が少ないだろう。





　しかし、降谷さんの方はそれを受け止めているのか。





　心の中の問いに答えるように。










　「─────朝狩、結衣と言います。





　全てを承知の上で、降谷さんと交際しています。」






　此方が気後れする程真っ直ぐに射抜く光を青に宿して。





　そう、告げた。






　「……頭上げさせろ、風見」




　「……！ 降谷さ」




　「零さん……！」





　頭と共に跳ね上がった結んだ髪がこっちの顔をひっかいてきそうな勢いで面を上げた。












　結衣side










　「結衣、ちょっと」




　「はい」





　呼ばれて寄ると、いきなりデコピンをかまされた。





　デコピンなのだ。私にしかダメージは与えられないはずなのだ。





　しかし痛そうに顔を歪める彼。





　何で自分の傷に響くのにやったの零さん。






　「何を、謝ってるんだ。ついてくるって覚悟はしてたんじゃないのか？」





　「それはそれ、これはこれです。





　決めたことは嘘じゃありませんけど、そんなこと風見さんにとったら知ったこっちゃないでしょう。





　風見さんからしたら上司がより多く怪我をする原因になったんですから、謝るのが筋です！」






　不機嫌そうな彼についカッとなり捲し立てた。









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