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「結衣!!」
「!」
呼ばれた名に、目をかっ開く。
もがくように腕を伸ばすと、ガシッと掴まれてそのままコナンくんごと抱えられた。
バギュン! と見なくても何の音か分かるそれが唐突に至近距離からする。
「〜〜〜〜〜〜!!」
鼓膜を破るような銃撃が連続して身をすくめていると、う”っと小さな声の直ぐ後。
鮮血が、目の前を舞った。
「……!! れ、さ……!!」
ガラスの砕ける鈍い音と共に腕の感触が離れて、一瞬重力から解放される。
「づっ! いっ”!」
何度か呻き声を上げながら固い床の上をバウンドして、ズザザザザと止まる。
「……、……、……ッ!」
呼吸を、しようとして喉に絡み付く臭いに激しく咳き込んだ。
ゲホゲホゲホゲホゲホ! と数えきれないくらい咳を繰り返して、やっと、まともに吸えるようになってから腕の中のコナンくんを放す。
覗き込んできた彼に無理やり笑みをつくった。
大きく、息を吸って、吐いて。
床に一筋描かれた緋にまたそれを止められた。
「後はこっちで処理する。君も直ぐに行くんだ」
肩を押さえて立っている透さん。
「まだ謎は解けてないよ」
強い口調のコナンくん。
「どうして小五郎のおじさんを巻き込んだの?」
また、薄く笑みを浮かべて。
「僕は立場上、公には捜査できないし、彼を事件に巻き込めば君は必然的に“協力者”になる。
そうすれば、君の本気の力が借りられるだろ?」
苦い顔ながらも、透さんは、どこか晴れやかな表情をしていた。
「……、買い被りすぎだよ……」
背を向けていて見えないけど、きっと、同じような顔をしているんだろうなと思った。
「コナンくん、蘭ちゃんの所行ってあげて」
立ち上がり、そう声をかける。
「結衣さんは……」
今度は自然な笑みを向けることができた。
それで十分伝わったようだ。
「……分かった。」
微笑んで、コナンくんは静かに歩いていった。
彼の姿が消えたのを見届けて、くるりと振り返ると。
「……! 零さん……!?」
目を閉じた彼が、ぐらりと揺らいだ。
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camellia(プロフ) - さねみんと安室推しさん» ご指摘ありがとうございます(土下座) うわホントだ……書いてる間に勝手に脳が誤変換起こしてましたね……偽名は緑川です即刻修正する所存ですごめんなさいありがとうございました! これからもどうかよろしくお願いします!! (2021年3月2日 12時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
さねみんと安室推し - すいません、6ページでスコッチの偽名が緋色光ってなってましたが、シリーズ二作目で夢主に再会した時スコッチは緑川光って紹介されてませんでしたか??偽名を変えたと言うことなんでしょうか?気になったので・・(^_^;) (2021年3月2日 11時) (レス) id: ff085d1bee (このIDを非表示/違反報告)
愛丸(*´∀`)(プロフ) - ありがとうございます!!3日以内には載せますね!! (2019年10月22日 23時) (レス) id: ff7339904f (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - 愛丸(*´∀`)さん» わあ! 今少しですが作品の方見させていただきました!コナン風の画なんですね。是非ともよろしくお願いします! ご質問があれば遠慮なくどうぞ! (2019年10月22日 22時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
愛丸(*´∀`)(プロフ) - 「名探偵な絵を描く。」という夢主のイラスト集作ってるんですが、貴方の夢主さん描いてもいいですか?? (2019年10月22日 22時) (レス) id: ff7339904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:camellia | 作成日時:2018年9月9日 13時