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パラリと、次のページを繰った。
最近ホームズばっかりだったけど、やっぱ日本の現代が舞台のも好き。
今読んでるのは、主人公が大物作家の原稿を落とす策略を巡らせている所で、主人公の思考回路がすごく面白い。
ポアロには、私と厨房で作業をしている透さんだけ。
暖かなオレンジ色の夕陽が、私と本のページと、店内を染め上げている。
コーヒーカップに手を伸ばした時だった。
カウベルの音がして、見ればホウキとチリトリを持って外に出ていった透さん。
死角になっていた場所から、コナンくんが出てくる。
「〜〜〜〜! 〜〜〜〜〜〜!」
「………………、………………………………」
席が真ん中辺りなせいで、叱咤するようなコナンくんの声も、呟くような透さんの声も聞くことは出来なかった。
透さんがドアを開けたまま店に入ろうとして。
コナンくんの叫びが耳に飛び込んできた。
「なんでこんなことするんだ!」
ビクリとして、カップの中のコーヒーが跳ねた。
コナンくんの問いに、透さんは背を向けたまま答えた。
「………僕には、命に代えても守らなくてはならないものがあるからさ」
チリンチリンと、いつもと変わらないはずの、カウベルの音がやけに乾いて無機質だった。
心臓を鷲掴みにされたような気がした。
それほどまでに彼の言葉は固くて、重くて、
のし掛かるような威圧感を醸し出していた。
何かが、起こった。
漠然とその一言だけが浮かび上がり、気づいたら席を立っていた。
「透さん、すみません、今日は失礼します!」
バックヤードに引っ込んでしまった透さんに声をかけ、代金を置いて外へ飛び出る。
彼の名を呼んだ。
「コナンくん!」
「結衣………さん?」
振り返ったコナンくんの瞳が、素通しのメガネ越しに微かに震えた。
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camellia(プロフ) - さねみんと安室推しさん» ご指摘ありがとうございます(土下座) うわホントだ……書いてる間に勝手に脳が誤変換起こしてましたね……偽名は緑川です即刻修正する所存ですごめんなさいありがとうございました! これからもどうかよろしくお願いします!! (2021年3月2日 12時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
さねみんと安室推し - すいません、6ページでスコッチの偽名が緋色光ってなってましたが、シリーズ二作目で夢主に再会した時スコッチは緑川光って紹介されてませんでしたか??偽名を変えたと言うことなんでしょうか?気になったので・・(^_^;) (2021年3月2日 11時) (レス) id: ff085d1bee (このIDを非表示/違反報告)
愛丸(*´∀`)(プロフ) - ありがとうございます!!3日以内には載せますね!! (2019年10月22日 23時) (レス) id: ff7339904f (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - 愛丸(*´∀`)さん» わあ! 今少しですが作品の方見させていただきました!コナン風の画なんですね。是非ともよろしくお願いします! ご質問があれば遠慮なくどうぞ! (2019年10月22日 22時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
愛丸(*´∀`)(プロフ) - 「名探偵な絵を描く。」という夢主のイラスト集作ってるんですが、貴方の夢主さん描いてもいいですか?? (2019年10月22日 22時) (レス) id: ff7339904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:camellia | 作成日時:2018年9月9日 13時