はるばる東都まできた義眼の女子大生がラムに間違われる話。

ガールズバンド　Five！ ページ46

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　防犯カメラの映像は、丁度遺体のある場所にスマホの裏が映りこんでしまっていた。





　亡くなった山路(やまじ)萩江(はぎえ)さんの他のバンドメンバーは、




　キーボードの小暮(こぐれ)留海(るみ)さん、




　ギターの木船(きぶね)染花(そめか)さん、




ボーカル兼ベースの笛川(ふえかわ)唯子(ただこ)さん。





　仮眠をとっていた萩江さんを代わる代わる起こしに行ったそうだ。





　順番は、唯子さん、染花さん、留海さんの順。






　それぞれの目的は、唯子さんはスタジオに置いてあったソーイングセットで染花さんのボタンが取れたジャケットを直すため、





　染花さんは弦の張り替えとチューニング、




　留海さんは曲を直すためということだった。





　そして、容疑者三人の身体検査およびスタジオの捜索が行われた。






　「何ィ！？ 凶器が見つからない！？」




　「え？」





　高木刑事の話によると、スタジオ内から排水口まで探しても、萩江さんを絞殺したヒモ状の凶器はどこにも見つからなかったそうだ。





　ヒモなら切り刻んで流せると思ったんだけどな……。





　あ。





　「遺体は、調べたんですか？」




　「「え？」」





　私の言葉に、二人が不意を突かれたような声をあげる。





　考えをまとめながら、口を開いた。





　「え、いやあの、凶器ってヒモなんですよね？




　私だったら決定的な証拠になっちゃう凶器は捨てるか現場に置いておくかしますけど。





　まあ、指紋がついてない大前提があってこその話になりますけどね」


　


　あくまでも、もしもの話。





　自分で持ってるなんてヒヤヒヤして耐えられそうにない。





　そんなことを考えていた私を安室さんが鋭い目で睨んでいたことを、私は知らない。









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