9話 ページ9
事の発端は1ヶ月前に遡る。
久美さん実家でAちゃんが赤ちゃんを抱っこしているのを見た後、俺は結婚についてもう少し進めたいと思った。
最初にこれを相談したのは、樹と久美さんだ。
田「結婚?ちょっと早くない?まだ付き合い始めて半年も経ってないと思うけど。」
久美「まあでも。2人は2年の両片思い期間あるから、あんまり早い感じしないかも。うちの事務所としては、いつ結婚しても大丈夫です。Aは歌手なので、そこまでシビアじゃないと思います。」
問題はうちの事務所か。
田「こっちも大丈夫だと思うけどね。」
え?
田「俺ら全員で事務所説得するよ。俺だってAちゃんときょものカップル好きだし。」
久美「プロポーズはどこでするんです?あ、指輪とか決めました?私、Aのサイズならわかりますよ。衣装用意するための採寸データあるので。」
それはめちゃくちゃ助かるかも。
京「指輪のサイズあとで教えてください。プロポーズはもうちょっと場所とか考えてから相談します。」
結論から言うと、事務所の説得は後にすることにした。
なんか外堀埋めてるみたいで嫌だったから。
それから俺は、プロポーズに使うレストランを探した。
メンバーにおすすめ聞いて、一緒に食べに行ったり、色々なサイトをみたり、仲のいい先輩に聞いたり。
Aちゃんと会える時間が少し減って寂しかったけど、プロポーズをいい思い出にするための手間は惜しまなかった。
指輪を決めてレストランを決めたことを久美さんに言うと、Aちゃんのスケジュールをこっそり教えてくれて、せっかくだから、おしゃれさせてから向かわせると提案してくれたので、任せることにした。
そして迎えた当日。
俺も緊張はマックスに達していた。
指輪もレストランもこだわったし、断られないんじゃないかという期待もしているけど、一世一代の大勝負みたいなものだ。
緊張して指先が冷えたり、声が震えているのをAちゃんが気づいている様子を見せたから、焦ったけど、レストランで美味しそうにご飯を食べるAちゃんを見て、少しだけ気持ちが落ち着いた。
そして、プロポーズが無事に成功したというわけだ。
大きいダイヤだけど、華奢な指にも合うように調和が取れている綺麗なデザイン。
よく似合ってるし、これにしてよかった。
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作者名:Rika | 作成日時:2023年12月20日 15時