【ツイステ】運命の人は鏡越しに［アズール･アーシェングロット］

店内放送の始まり ページ4

数日間、鏡越しで会話をする日々が続く。

両者とも、運命の人、という肩書きはあれど、関係性は｢丁度いい話し相手｣｢暇つぶし｣に近いものになってきていた。

｢あなた、素材は良いですよね。｢素材｣は｣

｢美人でしょ〜？美声でしょ〜？｣

｢事実なので否定はしません。人間性はクソですが｣

｢自覚はしてるよ。変態クソビッチだもん｣

｢体の関係はいくつお持ちで？｣

｢それが今は居ないんだなぁ……休日の度におひとり様生活よ｣

｢……言ってる事が未成年に対する話題ではないですよね？｣

｢振ってきたのはアズじゃんか！｣

｢あぁ、そうでした。すみませんね、健全な男子高校生なので。つい｣

｢お前、本当にそういうところだぞ｣

｢とか言いながら喜んでいるのは誰ですか｣

｢私でぇす♡｣

｢キショい。キモい。気持ちが悪い｣

｢酷いなぁ……アズって、割と理不尽だよね｣

｢あなたにだけですよ｣

｢いや、他人にもそうだろ｣

｢あなただって、僕の事を人扱いしてない癖に｣

｢やだなぁ。他のモブよか優遇してるよ｣

｢具体的には？｣

｢うーん……ペット？なんか、懐かないチワワ。……んっふ……っ！笑えてきた……っ｣

｢笑うな。何故チワワなんですか｣

｢……怒るでしょ？｣

｢怒りませんよ｣

｢なら……まぁ……なんか、キャンキャンしてるし……人より上に立とうとして、失敗してるイメージが凄い。受け臭が凄い｣

｢僕は受けじゃない！｣

｢うおぉ、怒鳴るなよ……じゃあ何？｣

｢リバです｣

｢リバ！？｣

｢僕は完全体なので、受けも攻めもどちらも完璧にこなしてみせますよ！ええ！｣

｢そういうとこがチワワなんだよ｣

｢訳が分からない……｣

｢わかれ、気合いで｣

｢無茶言うな。…………そう言えば、なんですが｣

｢うん｣

｢この会話、モストロ･ラウンジで流れてるんですよね｣

｢あー、店内放送的な？｣

｢はい。リアルタイム放送中です｣

｢なう？｣

｢なう｣

｢oh……｣

｢これであなたも恥ずかしい大人ですね、Aさん｣

｢お前も恥を晒した事をわかってないのか、アズ？｣

｢捨て身ですよ、こちとら。犠牲無くして利益は得られません｣

｢なんJ民か？｣

｢何を言いますか。死なば諸共ですよ｣

｢払う必要のねぇ犠牲払ってるぞコイツ｣

｢大丈夫ですよ。Aさんに感化されたのか、多少の恥くらいでは騒がなくなりました｣

｢え。意外｣

｢開き直りです。大事じゃないですか｣

｢あー、うん。大事だよね｣

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