49話 ページ50
「ああああっ！！触んなよ！！それ完成させんの3日かかったんだぞ！！」
「え？」
「ヒマだったんだな」
仕方ないでしょ。こちとら絶対安静だぞ。
「あ、そうだ。佐野とドラケンは喧嘩してるの！？」
私が訊くと、部屋に一瞬の沈黙が立ち込めた。それを破るように、アッくんが口を開く。
「ああ……ヤベェらしいり今にも東卍が二つに割れそうなんだ」
「あー、やっぱり？」
タクヤにお見舞い出もらったアイスを食べながら後ろに倒れる。
「行儀悪い」
「いった！！怪我人の頭叩かないでよ！アッくんママ！」
「誰か……バッドもってこい」
「キヨマサじゃん」
アッくんのボケに、全員が笑う。奴 隷解放令を出された私らは、もう、キヨマサのことは笑い話レベルなのだ。……いや、知らんけども。
「ああ、それと、さっきのは冗談だよ」
アッくんが私の右隣に座って言った。
「さっきのって……東卍真っ二つの？」
「そ。Aが深刻すぎてさ」
収まったはずが、また笑い出すアッくん。
「二人は喧嘩してるけどいつもの事らしいよ？」
左隣に座ったタクヤが、少し笑ったまま言う。
「大体、マイキー君とドラケン君がモメるワケなくない？」
ああ、確かにと口に出そうとした瞬間、「誰と誰がモメるわけねえって？」と、聞き覚え仕方ない声が聞こえた。
私ら5人は、揃って入口を見る。
「「「「ド……ドラケン君！？」」」」
「待ってなんでいんの？」
「その言い方は酷くね？鍵空いてたんだよ」
母さん！！！戸締りくらいしてってよ！！
「何しに来たのさ」
「見舞いだよ、見舞い」
少し笑うドラケン。すると、左右に座るタクヤとアッくん。そして、前に座る山岸とマコトが立ち上がった。
「あっちいな、この部屋。野郎ばっかいっからか？渾名、冷房弱くね？」
「あ、冷房付けてない……あー！！！アイス溶けてる！」
「アホかよ、倒れんぞ」
「ごめん、ママン！」
「誰がこんなに奴産むか」
「アッくんママはこんなこと言わなかった」
「誰だよアッくん。つか、なんでオマエら立ってんの？」
アンタが怖いからだよ……なんて言ったら私の命が危ういため、溶けたアイスを飲無のと同時に言葉も飲み込む。
「アッくん、捨てて」
「おう」
私はアッくんにゴミを渡すと、ドラケンの手元を見た。
「ドラケン、それって、見舞いの品？」
「言い方考えろよ。ま、そうだけどな。スイカ買ってきたから食おうぜ」
「よし、タクヤ、アッくん、行くんだ」
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作者名：くー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時：2022年7月4日 20時
