44話 ページ45
「え……自意識過剰……」
「はあ!!!?お前今見下したな?そういう目が1番嫌いなんだよ!!」
視界の端で佐野が動いた。直後、目の前の長内に頬を殴られる。体がよろけ、地面に倒れ込んだ。頬からズキズキとした痛みが広がる。
「……あ?」
……今、殴られた?
「渾名!」
佐野が叫ぶ。私はそれを無視して長内を見た。
「テメエ……誰の許可得て私の可愛い顔に傷つけてくれとんじゃ!!つか、女の顔殴んなよ!!」
え、そこ?と全員が動きを止めた。
「いいか?そのゴミしか詰まってない頭によく叩き込んどけ!!女の顔に傷作っていいのと、可愛い子や美女に近づいていいのは、イケメンの彼氏か旦那だけなんだよ!!オマエとは天と地の差がある人間だけだわ!!」
「……テメー、殺すぞ」
殺気を帯びた目で私を見下ろす長内。そして、彼は腕を振り上げたが、それをパーちんが止める。
「テメェーの相手は俺だよ、コノヤロー」
「問題児の渾名はこっちネ」
うるせー問題児言うなし。つか、面倒くさがるなら構うなし!!
「パーちん、そこ退いて!愛美愛主とモメちゃダメだし、モメるなら私が長内殺す!!!!顔面の慰謝料払えやクソが!!」
「ひっこんでろ。マイキー、そいつちゃんと押さえてろよ」
「わかってる」
パーちんはそれを聞くと、長内を見据えた。私は左頬を押さえながら顔を下に向ける。
「いった……もう無理。なんで顔殴んの。キヨマサでも服の下だった。なんだよ東卍、治安良すぎだろ。全員東卍見習えよ……!!」
「はいはい、大人しく見ててよ」
佐野が言う。上を向けば、温度のない表情をした佐野がいた。
「パーちんナメんなよ、花垣。パーちんは東卍でもバリバリの武闘派。一人で突っこんで、チーム一個潰しちまうようなヤツだ」
「ヤバっ!!すっご」
「だろ?だから、長内なんかにゼッテェ負けねえ」
いやまあ、そういう事じゃないんだけどね。このまま順調に行けば、ドラケンが死んじゃう。アッくんとヒナナが、同じ目に遭う。
……あれ、でも、ドラケンの死って、腹部を刺されて死んだんだよね?ってことは、運が良ければ助かるんじゃ?……抗争に救急車が来れるとは思わない。
つーことは、私が何とかして抗争からドラケンを離して、病院行けばいいんじゃね……!!!?やっだ、ナイスアイデア!!
じゃ、もう止めなくてもいいか……?いや、万一に備えて……。
「めっちゃ急に大人しくなるじゃん」
「あはははは」
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作者名:くー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時:2022年7月4日 20時