42話 ページ43
分かってないのは佐野の方だ。上に立つくせに、その責任がない。申し訳ないけど、やっぱりただの子供だってわかる。
もし仲間が死んだら、もしドラケンが死んだら、佐野はどうすんの?怒る?いや、それよりも先ず悔やむでしょ。それから悲しみに変わって、終わったあとで殺した奴に怒りを覚えるんでしょ。
兄貴が死んだと聞いた。その時にどう思った?悲しかった?悔やんだ??怒りを覚えた??……ねえ、どの感情が先だった?
……ドラケンは死んではいけない。ヒナも、アッくんも……誰も死なせない。アッくんと、みんなを助けるって約束した!
直人と、ヒナを、救うって約束した!ヒナを守るって誓った!!
「え……」
「渾名?」
「「は?」」
地面に正座をし、手を地面について平伏し、土下座の姿勢をとる。
「佐野、申し訳ないけど、これもう譲らない。私は退けない!!!愛美愛主とやりあったら東卍は終わる!!!!
せっかく佐野とドラケンと仲良くなったのに、それが終わるのは嫌だ!お願い、佐野……お願いします」
語尾が震えた。ドラケンを救う、ヒナを救う、アッくんを救う。そのためには、抗争を止めるしかない。
「渾名、立てよ」
「ドラケン、起こして。足痺れた」
「嘘だろ」
正座なんかしたの、いつぶりだ?
ドラケンの手を借りて立ち上がると、足が痺れてうごけないため、直ぐに地面に胡座をかいて座る。スカートだとか、気にしてらんないよね。
「渾名が退かねーって言ってんだ。少し、愛美愛主調べてみてもいいんじゃねーの?マイキー」
「あ?ケンチン。オマエ、東卍に楯突くの?」
「あ?そういう話じゃねぇだろ?」
「そういう話だよ」
……え、佐野とドラケンが喧嘩した理由って、私?え、どしよ。
緊張した面持ちで二人を見ていると、突然、誰かの声がした。
「内輪モメしているトコ悪ぃーんだけどさぁ、愛美愛主愛美愛主ってよー、ウチの名前連呼すんのやめてくんねー。中坊どもがよー」
「テメーは……長内!!!」
「騒ぐなチンカス」
櫛を片手に立っ長内。工場であった時とだいぶ違うが、額の傷が同じだ。
え、人って、こんなに変わるもんなの?しかも、変わり方がアッくんとは違って丸くなってたし、ちょーオドオドしてた!
無理無理、死ぬ……!!衝撃ビフォーアフターじゃん!!しんどっ!!
何とか下を向いて笑いをこらえるが、肩がどうしても震える。
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作者名:くー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時:2022年7月4日 20時