32話 ページ33
「え、うん」
「さっきって、私と会う前だよね？もしかして、隠そうとしてたこと？」
「……ははは」
「エマ、何があったんだよ」
エマはドラケンに聞かれると、先程あったことを話す。ドラケン、佐野、エマは真剣に聞いていたが、やがて、声を上げて笑いだした。
なんだなんだと、ほとんど全員がこちらをむく。
「ちょ、渾名、ウケる！！不良なら、力で解決しろよ！」
「いや、だって！！」
「涙まで流すとか、渾名、女優の天下取れんじゃね？」
「まあ、私美人だから」
「そこかよ」
3人は気が済んだのか、笑い終えると、さっきまでの表情が嘘かのように真剣な顔になった。
「「「で、絡んだのって、誰？」」」
怒りの黒いオーラが3人を包み、私とエマは肩を揺らす。
「「えっと……」」
「「「顔は？身長は？どこで会った？」」」
波乱の展開！！！！
「「……お、覚えてない……かな」」
辛うじて絞り出した声は、酷く震えていた。無理無理、死ぬ、怖い……。エマと目を合わせて震えていると、三ツ谷という助け舟が現れた。
「それは後にしろよ。もう全員集まってんぞ」
「……あ、悪い」
ドラケンはハッとすると、隊員達に向かって叫んだ。
「オラ！集まれ、テメーら。集会始めっぞ！」
それを聞くと、下にいた隊員達は急いで上にあがって、正中と呼ばれる神様が通る道を開けて列を作り、そちらを向いて頭を下げた。
用意ができると、佐野、ドラケン、私、センター分けイケメン、三ツ谷、ぽっちゃりの人、笑顔の人、デカい人の順でそこを通る。
「「「お疲れ様です！！総長！！！」」」
なるほど、自分のトップ=神ってことか。つーか、私場違いじゃね？ヒナもエマもどっか行くしさ〜。怖い無理帰りたい。キヨマサん時と違って、今、ここで暴れたら首飛ぶって分かってるから、下手に動けない。
クッソ！
別のことを考えて気を紛らわしながら歩く。佐野とドラケンは階段を上がって上にあがり、私のその他の五人は、下で待機する。
つか、すげえな。佐野が皆の前に立っただけで、空気が変わった。これが東卍の総長……！ナイフ持っても勝てる気しない……。
「今日集まったのは、愛美愛主の件だ。ウチとぶつかりゃ、デカい抗争になる」
愛美愛主と抗争！！？直人からの情報にそんなのないけど！？
「ぶつかるなら武蔵祭りのタイミングだ。じゃあ、みんなの意見を聞かせてくれ」
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作者名：くー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時：2022年7月4日 20時
