22話 ページ23
「だから、とりあえず、佐野に会って話をしよう。なんでそんなに変わったのか、徹底的に問い詰めるんだ。過去に戻る前に知っておいた方がいいでしょ？
それに、今の東卍は、佐野の理想郷とはかけ離れている。だから、ちゃんと話したい」
異論は認めない。その圧を感じとったのか、直人は参ったと両手を上げると、口を開いた。
「……過去で何があったか知りませんが、変わりましたね、Aさん」
「ん？そーかな？どの辺が？」
「ちょっとだけですけどね。弱々しさがなくなりました」
私、弱々しかったっけ？？わかんねえな。
「佐野に会える方法を探します。とは言ったものの、佐野は恐ろしいほど慎重です。警察でもシッポを掴めない。ケータイも恐らく飛ばし。住居も自分の名義じゃない」
へーと直人の話を聞きながら、過去で聞いたケー番を打ち込む。
「かけてい？」
「ご自由に」
直人に言わたため、コールボタンを押した。すると、なんと、普通にコールが始まる。
「「は？」」
私らは顔を見合わせて困惑した。いや、かかるとか聞いてねえけど？
「もしもし、渾名？」
「……ごめん、一回切る」
「あ、おい」
佐野の少し焦ったような声を無視して電話を切る。
「ねえ、電話、出たくね？」
「いや、有り得ない……」
直後、スマホが震え、以前に交換したメアドから、メールが送られてくる。
［急にかけてきて切るとか、無くね？ずっと、待ってたんだけど。渾名の嫌がることするつもりは無いから、逆探とかもしないから、安心していいよ。オレからかけることも無い。
警察にも、言いたければ言えばいい。言われたからって、オレらが終わるわけじゃねえ。
ただ、1個だけ、考えてて欲しいものがある。……ずっと言ってきたけど、もう1回言う。オマエも、東卍、入らねえ？］
……は？？？
「え、どどどど、どしよ、直人」
「アンタ、気に入られてるどころじゃなくないですか？」
「それな。つか、ヒナ殺しといて、よくこんなメッセ送れたな？？返信していい？」
「ダメに決まってるでしょう。もしかしたら、罠かもしれません。1度電源落として、メアドとケー番変えてください」
「めんどいから直人やって」
「……はあ」
……いや、こっっっっわ！！佐野、アンタ兄に執着しすぎな！？つか、なんで私がかけてくると思った？？あん？
「とりあえず、資料漁りましょう。もしかしたら、なにか手がかりがあるかもしれない」
「はーい」
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作者名：くー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時：2022年7月4日 20時
