17話 ページ18
問答無用で殴りかかってこようとする佐野。やっぱ見かけに寄らずイカれてんな、なんにも変わってない。つーか、顔はやめて欲しいな、痛いから。
これから来る衝撃に、ギュッと目を閉じる。だが、いつまで経っても衝撃がこない。恐る恐る、目を開ける。
「なーんてね」
「……え？」
「バカだなー渾名。女に手出だすわけねーじゃん。ヒナちゃんにも、渾名にも、手出す気はねえよ」
「渾名っち……オレ相手に凄んだな？」
「え、あ……」
「しかも、煽られてたね」
「手出さなかったオレ、誰か褒めてくんね？」
「……え、あ、んん？？」
え、なになに、どゆこと？え、嘘だってこと？ドッキリ的な？はあ？？？
「ま、いいけど。
譲れねぇモンがある、失いたくねぇモンがある。今時、女にそれ言うやついねぇぞ？つか、親友に言う奴なんか見たことねえよ。昭和だな。ビっとしてたぜ？」
「はは……」
ギリ平成生まれだけどね、私。
「あれ？Aちゃん。この人たちって……」
「知り合いだよ。この前、私の子他助けてくれたんだよね」
直後、ヒナが、サッと顔を青くして、勢いよく佐野に頭を下げた。
「ゴメンなさい！！私、勘違いしちゃって」
「いーよ、別に」
あわあわとするヒナに返す佐野。直後、その顔をニヤッと歪ませた。そして、わざとらしく頬を押える。
「すげービンタだったなぁ」
「すいません！！」
謝るヒナと、佐野の笑う声。……うーん、そんなに害悪には見えんのよな。
「大切な親友の為にに頑張るのはいいけど、無茶しちゃダメ。相手が相手なら大変なことになっちゃうよ？」
「そーそ」
「オマエにも当てはまるだろ」
「え？」
首を傾げていると、ヒナが校舎に戻るのが見えた。
「ヒナ……行くね？」
「んあ？デートは？」
「今度でいいよ。せっかく友達が遊びに来てくれたんだし。あ、でも、行き場所は私が決めていい？」
「もち」
ヒナは笑顔になると、最後に2人に頭を下げて校内に戻って行った。
「ばいばーい、今度は叩かないでね」
少し恥ずかしそうに校内に戻るヒナと、陰からこちらを伺うアッくんたち。
「いいコじゃん、滅多にいねーよあんなコ。大事にしてやれよ」
どの口が言うか……まあ、今の佐野は、大丈夫か。
「当たり前。だから、こんなに必死なんだよ」
「ふーん。ま、いいや。渾名、チャリ漕いで」
「……は？」
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作者名：くー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時：2022年7月4日 20時
