16話 ページ17
「オイ……殺すぞ、ガキ。いきなりぶん殴ってきてハイ、サヨナラ？ふざけるなよコラ」
青筋を浮かべたドラケンが、ヒナの手を掴む。いや、ガキはお互い様でしょ？？え、もしかして、ドラケンって高校生？？
「ふざけてるのはどっちですか？」
「あ……？」
「他校に勝手に入ってきて、無理矢理連れ去るのは友達のすることじゃありません。最近のAちゃん、怪我ばっかり。隠してるかもしれないけど、私にならわかるもん。
体押さえてたり、歩く速度遅かったり、変な歩き方してたり……」
よく見てるなあ。
「もしそれがあなた達のせいなら……私が許しません」
……控えめに言って、惚れた。
「……ねえ、ドラケン。この手、離してくんない？」
ヒナから手を離し、代わりにヒナの手首を掴んでるドラケンの手を人差し指でつつく。この状況で笑顔でいてる自分が恐ろしいわ。
「あ？なんつった？」
「だーから、この手、離せっつってんの。耳悪いの？」
「テメー、誰に向かって口聞いてんだ！？」
ドラケンが凄む。でもさ、今度は私がヒナを、ちゃんと自分の手で守るって誓ったからさ、ここで引けないんだよなあ。
「アンタだよ、目の前にいるアンタ。目まで悪くなったの？」
「テメェ……」
「もう二度と、譲れないものがあるんだよ。失いたくないものがあるんだよ！いいから離せ、さもなくば、ポストから溢れるくらいキャバ嬢の写メ入れんぞ！」
「んだよ、その陰湿な嫌がらせ！まあ、オレには関係ないけどな」
「……まさか、成人？じゃ、捕まるんじゃね？」
「成人じゃねえわ」
え、どゆこと？まさか、家がキャバクラ？？……マジかあ。少し哀れんだ目で見ていると、いきなり肩を佐野に掴まれて、強制的に目を合わせられる。
こんなに簡単に、人の体って回転するっけ？私、筋肉なかったりする？？女子の中ではある方じゃね？？
「あーあ、せっかくダチになれるとお待ったのにザンネン。さて、どうやって死にてぇ？」
「出来れば、首吊りがいいかなあ。それか、一思いに……こう、パパッと。あ、でも、顔はやめてね」
「二度と人前に立てねぇーツラにしてやるよ」
「人の話聞いてる？？」
なんでこんなに余裕なのか、自分にも分からない。まあ、多分、ヒナがいるからだろう。
「まあ、なんでもいいけど、1個だけ約束してくんない？……ヒナには、手出さないで。ヒナ傷つけたら、マジ殺すから」
「は？知らねーよ」
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作者名：くー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時：2022年7月4日 20時
