4話 ページ5
「ずみ"ばせんでしたっ!!!」
「すみませんでした」
土下座をするのはツートップのアッくんと私。凄いね、謝り慣れすぎてどんだけ痛くてもスラスラと謝罪できるよ。1種の特技じゃね?
「気合いもなんもねーダサ坊がよー、不良語ってんじゃねーぞコラ」
「お前ら今日からオレら東京卍會の兵隊な。しっかり働けよ」
立ち去っていくキヨマサたちの背中を、私は姿勢を崩して睨むように見る……今日、この喧嘩のせいで、私らの3年間はアイツらのパシリで最悪な日々になる。
それが嫌になって、私、こいつらのこと置いて逃げたんだっけ。だけど、上手くいかなくって、謝りまくる今ってことか。
まあでも、そう易々とやられてたまるかっての。どうせ1度失った命なんだ。痛みもリアルに感じるってことは、もしかしたらこれから起こることも変えれるかもしれない。
「悪かった」
「いいよ、Aが謝らなくて」
「つーか、謝るのはオレらだ。A、オレらのこと守ろうとしてくれただろ?」
「動けなかったもんな、オレ達男は」
ふっと笑う4人。謝ってるのは別に今日の事じゃないんだけどなあ……ま、いっか。
……そいや、なんで私、橘が親友だって思ったんだろ?って、あれ?橘って、どんな顔だっけ??
◆
記憶を頼りに橘のマンションを目指し、インターフォンを押す。
「あれ?Aちゃん」
「ヒナ……」
あ、そっか。私、橘のことヒナって呼んでたわ。つか、懐かしー。
「Aちゃん!またケンカ!?」
ぼーっとしていると、突然ドアが開き、ヒナが顔を出した。それから説教じみたものを言うが、何も入ってこない。無意識に伸びる手。そして、ヒナの頬に触れる。
「……あった、かい」
目から涙が零れ落ちた。……ああ、私、ヒナが大切だったんだ。なんで、忘れてたんだろ。
「ごめん、ヒナ」
大事な時にいてあげられなくて。私、約束してたよね、ヒナのことは守るって。……守れてないじゃん。うっわ、なんで今思い出すかなあ!?!?
「ごめん、急に押しかけて。特に理由はないけど、顔みたくなってね。じゃ、また」
さすがに無理があるかな〜と背を向けると、案の定、ヒナに呼び止められた。
「うそ、なんかあった。いつものAちゃんじゃないもん!」
そして腕を引かれ、強制的にヒナの方をむくと、両頬をヒナの手で挟まれる。
「ちゃんと言って!Aちゃんの事はなんでも知りたいの!親友なんだよ!」
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作者名:くー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時:2022年7月4日 20時