EPISODE #9 ページ10
【Aside】
『はぁ、はぁ…。』
あれから屋敷の中を走り回ったが、どこも同じような光景だった。
仲良くしていた歳上の姉さんから、一番下の小さな子供までみんな血だらけで倒れていた。
『なんで…ッ!』
きっと私がまだ生きているのは私の部屋が一番奥で、見つけにくい所だったからだ。
屋敷の中を血なまぐさい匂いが充満している。
『とりあえず、そ、外に…!』
何回も通った屋敷の玄関を目指して走る__
そうしたかったのに、足が動いてくれなかった。
否、動かなかった。
『え、なんで…』
自分の足元を見てみれば、這いつくばった何かが私の足首を掴んでいるではないか。
「つーか、まえた。
鬼なんて初めてみたが、こいつが優奈の言っていた鬼だと言うことは一瞬でわかった。
先程、念の為にと調理場の包丁を持ち歩いていたのを思い出し、
必死の思いで包丁を鬼の腕に向かって振り落とした。
べちゃ、と音を立てて腕が落ちたうちに
玄関の扉を乱暴に開けて、外へと飛び出した。
『だ、誰か…!たすけ…ングッ!』
助けを呼ぼうとしたのもつかの間、何者かによって口を塞がれた。
『ん゛んーー!!!』
昨夜「黙れ!静かにしろ!」
な、なんで、こいつが生きているんだ。
私の口を抑えたまま物陰に隠れる。
『フー、フー。』
鬼「おい、そこにいるんだろぉ??わかってるぞぉ?
早く出てこい。男と女、1匹ずつだろ?」
バレてる、隠れても意味ない。
鬼はすぐに目の前にきた。
昨夜「ひ、ヒィ!!」
鬼「ほぉーら、いるじゃねぇか。」
昨夜「た、食べるならコイツにしろ!!
俺よりコイツの方がいいぞ!!」
そう言って私の襟首を掴み、鬼に突き出してくる。
鬼「ほぉー、確かに美味そうだなぁ。」
昨夜「そ、そ、そうだろう!
コイツを食わせてやるから俺は見逃してく…ブシュ」
『…ぇ、』
掴まれている襟首が緩んだかと思ったら
後ろにいた昨夜の首はなくなっていた。
鬼「俺は美味そうなもんは最後にとっておくのが好きなんだよなぁ。
お前は屋敷の中にいた誰よりも顔が綺麗だ。
身も引き締まってて美味そうだぁ。」
あぁ、ダメだ。逃げ場がない。
包丁で抵抗しても殺されるのがとっくに目に見えてる。
でも悔いはない。
楽しい人生ではなかったけれど、素敵な仲間に出会えることができた。
カラン…。と包丁を落とし、私はそっと目を瞑る。
鬼「お、ついに諦めたか。良い子だ。」
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こんぺいとー。(プロフ) - 蒼井とーるさん» とーるさん初めまして!コメントありがとうございます!可愛い不死川さんを提供できてよかったです( *˙˙*)続きも楽しんでください!! (2020年8月14日 16時) (レス) id: f2066b104c (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる - はじめまして!蒼井とーるです。とても楽しく読ませていただいてます!不死川さんが可愛い…(´・ω・`) (2020年8月14日 12時) (レス) id: 34a45304c1 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとー。(プロフ) - しおりさん» しおりさんお久しぶりです!!今回も読んでくださりありがとうございます(*´-`*)更新頑張ります! (2020年5月2日 10時) (レス) id: f2066b104c (このIDを非表示/違反報告)
しおり - お久しぶりです!!やっぱりこんぺいとー。さんがつくっている作品は面白いですね!!これからもがんばってください!!! (2020年5月2日 7時) (レス) id: 46ffa7468c (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとー。(プロフ) - のんきち。さん» あああぁぁ!嬉しいです!!ありがとうございます!更新頑張ります!! (2020年4月9日 9時) (レス) id: b53fca9749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぺいとー。 | 作成日時:2020年2月14日 19時