風柱邸のお手伝いさん。

EPISODE #36 ページ38

【Aside】


私を抱きしめ返してくれた事によって不死川さんの
はだけた胸に顔が当たる。


不死川さんの体温が感じられて、少しの間しか離れてなかったのにとても懐かしく思う。



『不死川さん…。』



不死川「なんだァ。」



『私、…不死川さんの邪魔になってないですか？』




不死川「邪魔ァ？」



1度顔を離して下から不死川さんを見上げる。



『はい…、最近不死川さん疲れてるみたいで…
それで私、逆に不死川さんの負担になってないかなって…。

だから煉獄さんに相談したんです。
そしたら本人に聞くのが1番だっ…て、不死川さん？』



再び頭の後ろに手がまわってきて元の体制に戻る。




不死川「邪魔になんかなってねェ。

…なってねェからそんなこと言うなァ。
俺ァお前のお陰で前よかかなり負担が減った。

だから…もうどこにも行くなァ…。」




そう言う不死川さんの声はいつもより覇気がなくて、優しかった。

｢どこにも行くな｣、その言葉に胸がキュウときつくなった。



『じゃあ私、ずっとここにいていいんですね…。』



不死川「あァ。毎日俺のためにおはぎ作ってらァいいんだよ。」



『ふふ。ほんとにおはぎ好きですね。』



よかった。私まだここに居ていいんだ。

不死川さんの隣でこうして支えてていいんだ…。



そう考えると胸の奥がじんわりと暖かくなる。



人生でこんなに誰かを信頼できる日が来るとは思わなかった。


不死川さんの暖かくて優しい匂いに安心してまたウトウトと眠気が襲ってくる。



それに気づいた不死川さんは私を自分の体から離して布団からはみ出た私を綺麗に寝かせた。


すると不死川さんはそのまま部屋の壁にもたれる。



さっきまでくっついていたので急に暖かみがなくなったのが無性に寂しかった。




『不死川さん、…今日は一緒に寝たい、です…。』




不死川「……はァ〜〜〜、」




しばらくの沈黙の後、大きなため息をつく不死さん。

あ、やっぱり無理か。



不死川「あーーーーーー」



『し、不死川さん…？』



ため息をそのまま伸ばしながらモゾモゾと布団の中に入ってくる。



そしてギューッと抱きしめられる。



それが嬉しくて私も抱きしめ返す。




・



それから二人とも眠りにつくのは早かった。



・



『おはようございます、不死川さん』



不死川「はよォ。」



いつもと変わらない朝をこうして不死川さんと迎えられること以上に幸せなことはない＿＿＿。

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