風柱邸のお手伝いさん。

EPISODE #22 ページ23

【Aside】


お昼前、


私が洗濯物を畳んでいると何やら外から音が聞こえた。



なんだろ…



長い廊下を通って縁側から屋敷の庭を見てみると、
何時間か前に布団に入った不死川さんの姿があった。




木刀を持ち、分厚い巻藁を次々と切り落としていく。




不死川「風の呼吸 参の型 晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)！」




庭の草木が巻き起こった風によってザワザワと音を立てて揺れる。



『すごい…。』




初めて見た。
剣術とはあんなに綺麗に成り立つものなのか。


いや、きっと違う。
不死川さんが、すごいんだ、きっと…。




そして、巻藁をすべて切り終わった不死川さんは私の立っている縁側に向かってきた。




『あ、お疲れ様です。不死川さん。』




不死川「あァ。…そんなに眺めて楽しかったかァ？」




気づいてたのか。
頭の後ろにもう一つ目がついているのではないかと疑いたくなるくらいだ。




『楽しかったというか…魅了されました。
すごいですね。とても美しかったです。』




そう言うと不死川さんは一瞬驚いたような顔をしてすぐにいつもの表情に戻ってしまった。




不死川「んなことねェよ。鬼を容赦なく斬っていく剣士に美しいとかいう言葉は似合わねェ。

血だらけになりながら死んでいく奴らも沢山いる。」




そうか。鬼殺隊という仕事はそう簡単に務まるものじゃないんだ。




『…でも、人を助けるために鬼殺隊の皆様は鬼を斬るのですよね。

人を助ける。そんな人の心は皆美しい。
少なくとも私はそう思います。

…ごめんなさい。何だか暗い話になっちゃいましたね。

あ、そういえばさっき おはぎを作ったんです！
よかったら食べますか？』




不死川「…食う。」




・


おはぎを持ってくれば、不死川さんは美味しいと言って食べてくれた。



『不死川さん、またここに見に来てもいいですか？
あ、集中できないなら構いません！
邪魔をする訳にもいかないので…』



不死川「…見に来るも何もお前はここに住んでる女中だろォ。お前の好きにしろ。

ただし、条件がある。」




『はい！何でしょう？』



不死川「……見に来る時はおはぎ持ってこい…」



おはぎの部分の声が明らかに小さかったがちゃんと聞き取れた。



『お易い御用です！

…もしかして、不死川さんおはぎ好きだったりします？』



不死川「………。」



小さくだが、不死川さんが首を縦に振ったのは見逃さなかった。



不死川さんはおはぎが好き。

意外な一面を知ることができました。
これからもっと知れたらいいな。

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