風柱邸のお手伝いさん。

EPISODE #21 ページ22

【Aside】



よかった。美味しいって言ってくれた。




不死川「問題児とか言われてた割にはできんじゃねェか。」




『失礼ですね！私もれっきとした女中ですよ。
ただ、お客さんとうまくいかなかっただけで…。

家事は洗濯から料理までちゃんとできるのでご安心を。』




自分で言っといてあれだが嫌な記憶が蘇ってくる。

自分の浴衣にかかる気味の悪い手。




不死川「心配しなくてもここではそんなことねェよ。」




だからそんなに震えんなァ。と言いながらおかずの魚にお箸を添える。




不死川「お前が嫌がることは何もしねーよ。」



なんだろう。
会って間もないのにこの人のことだけは絶対に信用できる気がする。



『……。』



不死川「…い」




今までの人たちとは違う。
きっと知らない人から体を触られることも
誰かに殴られることもない。




不死川「おい。夜咲ィ。」




『あ、はい！』




不死川「部屋の片付け助かった。少し寝るから…｣




『あ、布団は敷いてますよ。
お皿は洗っておくのでそのままで大丈夫です。』




不死川「あァ。すまねェ。」




そう言ってフラフラと自室へと向かう不死川さん。




・



やっぱり鬼狩りって疲れるのかな…。




わしゃわしゃとお皿を洗いながら考える。



大変そう。
隊服も血まみれだったし…。

さっき洗ったけどちゃんと血落ちたかな？


血まみれ…。…ちまみれ…



え、



『血まみれ！？』




手に着いた泡を適当に洗い流して
うる覚えの不死川さんの自室に向かって走る。



私馬鹿だ！あんなに血まみれで帰ってきたのに怪我の確認もしてなかった！




『不死川さんっ！！』



不死川「…っ！？」



勢いよく襖を開けると、びっくりしたのか
不死川さんは布団から飛び起きる。



『不死川さん！怪我…！』




不死川「…けがァ？」




『怪我、してないですか！？
服が血で真っ赤でした…』




パチパチと何回か瞬きして不死川さんは




不死川「あァ。してねェよ。」




と再び布団にモゾモゾと戻る。




『よかった…。
あ、ごめんなさい。お休みのところ…。』




不死川「ん。」




ほっと胸を撫で下ろす。

そのままそっと部屋を出て調理場に戻る。



『…おはぎでも作っとこうかな…。』




甘いものは疲れを癒してくれるというのをどこかで聞いたことがある。




甘いもの大丈夫かな？

おはぎとか食べるのかな…？




不死川さんは私のことお見通しだけど
私は不死川さんのこと何にもわかんないな。



と思う今日このごろだ。

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