風柱邸のお手伝いさん。

EPISODE #15 ページ16

【Aside】


『……。』



目が覚めるとそこは
明るくてフワフワした天国でも、薄暗い闇の地獄でもなかった。




『…なんで、ですか…。』




不死川「自分の屋敷で人が死のうとしてたら誰でも助けるだろォ。」




『そこは目を瞑ってくださいよ。私は死にたかったんです。』




不死川「知らねェよ。んなもん。」




私が寝ている布団の足元で不思議な模様の入った刀を磨いている不死川さん。




『……もう生きてる意味なんてないです。
家族同然の仕事仲間も皆いなくなりました。』




不死川「……。」




ただ何も言わずに手先だけを動かしている。
私の言葉なんて耳に入ってすらないのではないかと
思うくらいだ。



『…色々とご迷惑おかけしてすみません。
ありがとうございました。』




布団から出て、一言お礼を言い部屋から出ようとすると、腕を掴まれた。




不死川「どこ行く。」




『人目のない所です…。』




不死川「そこで何する。」




『さっき私がしたかったことです。』




不死川「人目のない所で一人で死ぬのかァ？」



『はい。』



はぁ。と面倒くさそうにため息をつく不死川さん。



不死川「…何なら俺がスパッとやってやろうじゃねぇか。」




『…ぇ、？』




不死川さんが何を言ったのか、理解する前には
すでに刀が首に当てられていた。



腕で頭を守るようにして思わず腰が抜ける。




不死川「…ビビってんじゃねぇかァ。」




『ビビってなんかッ…！』




不死川「嘘つくな。怖いんだろォ。死ぬ事が。」




そんなことない。怖くなんてない。
優菜のところに、みんなのところに行けるなら…。





不死川「泣いてんじゃねぇか。」




言われて気づいた。
さっきから視界が歪んでいたのはこれのせいか。




不死川「…死にたいとか、自分が代わりに死ねばよかったとか思うなァ。

生き残ったんなら、
失ったそいつらの分の思い抱えて、死ぬまで死ぬ気で生きろやァ。」




『でもッ…!!!』




不死川「でもじゃねェ。生きろ。

…俺と約束しろォ。どんなに生きづらい世界でも生き抜くこと。」




『ッ…。』




なんだ。死ぬまで死ぬ気で生きろって……。
無茶苦茶じゃないか。




でも、その言葉に励まされた自分は確かにいて…。

気づけば涙がボロボロと溢れ出ていた。




『…う゛ぁ。…あぁ。ぐすっ。…みん、な゛ぁ…
ごめ、ん…うぅ。、わだし、いぎ、るからぁ！
みんなのぶ、んまで、ぐすっ。ぜったいに、！』




不死川さんと約束しました。

皆の気持ちを抱え、私は死ぬまで死ぬ気で生きることを＿＿＿＿。

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